スカルパ サミットGTX − 初の冬山対応登山靴 (購入記&レビュー)

予想以上に閲覧数が多いようなので、50日間ほど使ってみての本格レビューを追記しました。


目次
●購入記(10/1)
●レビュー1(10/4 日本コバ 山行記録より)
●レビュー2(10/31 5日間使ってみた段階)
●レビュー3(翌年1/11 雪上でも使ってみた段階。7日間使用)
●レビュー4(翌々年6/21 ガッツリ使ってみた段階。約50日間使用)




●購入記(10/1)
初めての登山靴のモンベル・ツオロミーブーツを購入したのは、3年前の6月。それ以来、4シーズンにわたって活躍してくれたが、ソールもだいぶ磨り減ってきていた上に、ついに縫い目がほつれて裂け目が広がり始めていた。いよいよ引退のときだった。

(そもそも、ツオロミーはいわゆる軽登山靴であり、25kgの荷物で縦走するのはまだしも、GWの雪山でアイゼンをつけて歩くような用途には作られていない。なので、もっと早く買い換えるべきだったのだが、結局寿命が来るまで踏ん切りがつかなかったわけだ。まぁ、よくあることですねww)


さて、第一に僕の山行の大半はテント山行であり、今後は冬山も視野に入れることから、堅牢性の高いオールシーズン対応の靴を検討した。

そして、先日、東京のさかいやスポーツを訪ねたとき、足との相性で第一候補に挙げていたのが、このサミットGTXであった。(最初は弟分のサミットライトGTXとシリオの712も候補だったが、サミットライトは将来的に厳冬期をやるときに対応できないこと、シリオはかかとがパカパカ抜けるため、それぞれ候補から外れた)

この靴、調べるほどに魅力的な靴であったが、問題は価格だった。定価で56,700円という破格のお値段であり、しかもほとんど値引きされない。(各店のセールで1割引になるのがやっと)

巨額の出費を覚悟しながらも、諦めきれずにひたすらググっているうちに、昨日、こんな記事を発見!


○梅田IBSの閉店セール 冬用登山靴スカルパ・サミットを買う [クライミングを復活させたい] http://mixedmoss.blog.so-net.ne.jp/archive/c98313-1


読んでみて驚き。IBS石井スポーツの閉店セールで、この靴が\38,273で売られているというのだ! 実に2万円近い値引きである!!(IBSの存在は以前から知っていたが行ったことはなく、当然閉店セールの情報もこのとき初めて知ったw)

早速電話で問い合わせたところ、東京で試着した40サイズ(25.5cm)は無かったものの、41サイズ(26.1cm)ならあるとのこと! 大阪に行くには2000円ほどの交通費が必要なので、サイズが合わないと空振りになるリスクもあったが、ひとまず取り置きしてもらい、「明日の夕方に行きます!」と告げたのであった。

そして、今日の授業が終わった後、期待と不安を胸に、大阪のIBSに向かったわけである。


店に着いたら、早速店員さんに声をかけて例のブツを出してもらう。そして、いよいよ試着・・・


・・・


・・・・・・


結局、41サイズのほうが具合が良かったですwww まぁ、もともとツオロミーも26.0cmを履いているので、当然といえば当然かもしれない。

かくして、心配は全くの杞憂に終わり、無事に格安価格にて念願の冬靴を手にしたのであった。(格安とはいえ4万円弱。学生のサイフにはとってもイターイ出費です・・・ まぁ、ちゃんとした靴が無ければ冬山なんて無理なわけですし; 新政権を見習って僕もムダ削減中なのですw)

ちなみに、対応してくれた店員さんはとても丁寧で、知識もとても豊富でした。他にもウェアなどの相談にも乗っていただけて、とても勉強になりました。ありがとうございます。(あと、持って行ったツオロミーのソールを見て、「まんべんなく削れてて、上手な歩き方してますよ」と言われました(嬉) たぶん、いつも歩くのが遅いので、結果的に足裏全体を使ってるんですww)

なお、IBSは一旦閉店し、オーナー交代の後、再スタートを切るとのことです。新IBSは12月ごろにオープン予定!



か、かっこいい・・・ 相応な登山者になれるようにがんばります!w


さて、これでギアは揃いました! あとは買うとすればテントの冬用外張りぐらいか。今年はウェアまで資金が回らないので、GWでの装備を基本に、スキー用品など既に持っている範囲内で工夫していくつもりです。

ツオロミーは今後も日帰り用に活躍してもらうつもりですが、冬山に向けてしばらくサミットを履き慣らさないといけないので、ツオロミーの復帰は早くても春になるでしょう。


日曜日が良い天気になるようなので、懐かしの比良に行こうと思います。

山に行くのが楽しみです!w


アイゼン付きのツオロミーと並んで一枚w



●レビュー1(10/4 日本コバ 山行記録より)
おニューの登山靴は、おろしたての割にはそこそこ良い具合です。全体的にはガッチリとしたフィット感があり頼もしい反面、登りではソールの硬さが勝ってしまい歩きにくいですw これは冬山対応の靴の宿命でしょう。

特に、斜面状の登りでは、かかとが靴後部の硬い部分に当たって痛いです。ただ、幸いにも靴擦れができるタイプのものではないようです。靴紐をゆるめると少し楽になったので、次回から靴紐の締め具合をもっとよく考えるのと、あとは今後の履き慣らし次第という気がします。

店で1時間履いて無問題でも、やはり現実はそうはいきません。これぐらいは想定内ですw(一足目のツオロミーのときは初登山靴ということもあってかなり大変な思いをしましたから、それに比べればw)

一方、下りではツオロミーよりワンランク上の安定感があり、おろしたてのキツい靴の割には足もほとんど痛くならず快適です。これはかなりポイントが高いです。(さすがに車道歩きは辛かった・・・)

これからどんどん履いてフィットさせていきます。


●レビュー2(10/31 5日間使ってみた段階)
この靴にもだいぶ慣れてきました。冬山と来年のテント山行に備えて、引き続き履き慣らし中です。

歩き出してしばらくは土踏まずが当たる感じがしてやや痛いのですが、30分ほどで全く気にならなくなります。(最初はずっと痛かったですw) この調子で足に合ってくればいずれこの症状もなくなるでしょう。

また、最初は登りでかかとが当たる感触があったのですが、靴ひもをきつく締めすぎていたようで、すこしゆるめに調整することで解決しました。

下りでは、ソールが硬くて歩きにくいことを除けば、安定性も良く、完璧と言って良いぐらいです。前のツオロミーでは足の小指にテーピングをしてマメ防止をしていたのですが、それが不要になりました。


●レビュー3(翌1/11 雪上でも使ってみた段階。7日間使用)
この段階でジャストフィットになりました。歩き始めの不快感もほぼ無くなり、下山時の履き心地から考えるとツオロミーより自分に足に合っている印象です。堅いのは冬靴としての宿命ですがw

雪上での性能や保温力は評判通り。伊吹山ではラッセルこそあったものの、気温はせいぜい-5度ぐらいしか経験できていませんが、足に冷たさを感じることはほとんどありませんでした。冬靴は初めてなのでこれぐらいしかレビューできませんがww


●レビュー4(翌々年6/21 ガッツリ使ってみた段階。約50日間使用)(7/28追記)
このブログの中でもこの記事が最もアクセス数が多いようで、たまたま久しぶりに「サミットGTX」でググッたところ、まさかのトップヒットww

トップヒットで↑の素人丸出しのレビューというのも情け無いので、2シーズン無雪期も含めて使った上でのレビューを書いてみたいと思います。

※他の冬靴を履いたことがないので、比較論を述べられないことをあらかじめご承知いただければ幸いです。

値段のことだけあってとても良く出来た冬靴だと思います。

まず、何よりもフィット感が良い。シリオの黄色い靴(712-GTX)も試着したことがあるのですが、かかとがカポカポ抜けて全然ダメだったことを覚えています。こればかりは個人差の大きいところではあるのですが、スカルパ全体の傾向として、フィット感が良いというか、「収まりが良い」という特性があるようです。(サミットGTXでスカルパにハマったこともあり、ツオロミーが古くなって引退させた際には、夏靴としてサミットのシャルモGTXを購入しています。実際には、ゆるい山ではトレランシューズ、岩や残雪の山ではシャルモ、冬山はサミット、という3足体制です。)

やや細身なので足幅の大きな人にはややきついですが、割と幅広の自分でも快適に履けているので、そんなにキツいものでもないと思います。ゆったりというよりは、収まりが良くきっちりとフィットしてくれるタイプといえます。冬山ではアイゼンを多用するので、そのほうがいいでしょうね。(凍傷になるほどキツいのはダメですが)

保温性については、氷点下20度でつま先までポカポカ!なんていうのはさすがに無理ですが、まずOKでしょう。とはいえコレは個人差や靴下等の工夫によるところも大きいと思うので、単純には語れないところだと思います。

アッパーも適度に柔軟性があり、雪のない場所で使っても十分快適です。車道を歩いた場合も、普通の夏靴と疲れ具合はそれほど変わりません。それぐらい歩きやすい靴だということです。

冬靴らしいしっかりとした硬いソールを備えているため、スリーシーズン用の靴ではキックステップが効かない場所でも、ある程度までならアイゼンいらずで雪上の登下降ができてしまいます。例えば、6月の飯豊や大雪など、雪渓が非常に多い状況で使いましたが、キックステップをしたり、側面のエッジを蹴んだりすれば十分安定し、アイゼンいらずで快適でした。(ただし状況を見てピッケルは持ってくださいね。アイゼン不要=ピッケル不要ではないので。)

自分の場合は、この靴は冬メインでなるべく大事に使いたいので、夏山で使うのはなるべく避けています。(といっても6月の飯豊と大雪で2週間使ってますがw) ただ、多少の重さと暑苦しさを甘受できるのであれば、スリーシーズンで雪や岩を歩くような用途でも十分使えると思います。何と言っても雪や岩に出くわしたときはソールの硬さがモノを言いますから。例えば、残雪がまだ多い7月の槍穂高なんかだと、中途半端な夏靴よりもこちらのほうが向いています。(安全性重視の場合の話です。もちろん軽量で行くなら夏靴ですよ。)

機能的に見ても、極端に何かに特化したものではなく、ピークハントや縦走を中心にオールマイティーに使えます。

販促みたいになってしまいましたが、オススメの冬靴です。ぜひ皆さんも店頭にて試着してみてください^^

何か質問がありましたらコメント欄までどうぞ!


追記:
この靴で行った山は、冬山ですと、八ヶ岳(赤岳・硫黄岳)、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根、仙丈ヶ岳甲斐駒ヶ岳白峰三山縦走。残雪期ですと、5月の聖岳穂高岳、6月の飯豊と大雪山系(十勝〜トムラウシ〜大雪)あたりです。あとは、滋賀県の1000m級の雪山、冬の北アの中腹までで敗退など。詳しくは山行記録一覧をご覧いただければ幸いです。

追記:

ただし、これはどんな靴でも起こることですが、たとえゴアテックスであっても最後はずぶ濡れになることは避けられません。仮に外部からの水気を全てシャットアウトできたとしても、外面に雪がびっしりついたり、全面凍りついてしまったり、あるいはアッパーの撥水が切れて水が染みこんでしまったりすると、それが内部からの透湿を妨げることになり、「自分の出した湿気と汗でずぶ濡れになる」という現象が起こってしまうからです。

これを避けるためには、素足をビニールで覆って湿気と汗を全て封じ込め、「足」と「靴下〜靴」を完全に遮蔽する以外にありません。(自分はやってませんがw)

確かにゴアテックスは素晴らしい素材ですが、冬山のようなシビアな環境では道具を信頼し過ぎると憂き目を見ることはよく覚えておくべきです。脱いだ直後はふにふにしていた靴も、時間が経てば氷の塊になってしまいます。だから寝袋の中に入れて少しでも温めておいたりとか、場合によってはプラティパス湯たんぽで解凍してあげるなど、生活感あふれる対策をやってあげる必要があるのです。