遭難の現状と対策@比良

今回の山行のとき、帰りの金糞峠でグループの方に道を聞かれました。旧リフト前の駐車場に車を停めたがそこまでの下山道が分からないとのことで、地図を見せながら青ガレとダケ道の2ルートがあると教えたのですが、結局その人たちは青ガレをひぃひぃ言いながら下りていました。最終的には無事に下山されて、登山口に着いた後、車で比良駅へ先回りして待ってくれていたようで、自分が駅に着いたときに「無事に下山できたよ!」と挨拶をしてくださいました。ご丁寧にありがとうございます。

ただ、彼らは地図なし&ノープラン&登山届なしの、いわゆる遭難予備軍だったわけで、何か一歩間違えば遭難していたかもしれません。ゴンドラのあるびわ湖バレイ周辺の散策程度ならともかく、あくまでも比良は標高差1000mの本格的な山系ですから、登山口から入るのであれば、たとえそれがハイキングのつもりであっても、決してナメてかかってはいけません。

また、仮に暗くなって下山できなくなったとしたら、この時期なら死なないにしても相当寒い思いをして丸々一夜を明かさなくてはなりません。さらに、暗闇の中を下手に行動して滑落でもすれば生死に関わりますし、登山届がなければ発見が遅れて生存率も下がります。最悪の場合その場で土に変わる事だってあり得ます。脅すわけではありませんが、事実として、登山が数あるスポーツの中でもずば抜けて死亡率が高いことは肝に銘じておくべきです。

実際に、比良山系でも毎年何人もの登山者が死亡していますし、去年の11月に消息を絶って遺体すら見つからずに行方不明のままになっている登山者もいます。(今もあちこちの道標に「探しています!」の張り紙がくくりつけてあります) また、比良山系は標高だけ見れば「低山」に分類されますが、琵琶湖側を中心に崖・岩場・深く切れ込んだ谷・滝などの急峻な地形も多く、標高の割には危険度が非常に高い山です。だからこそ「登りがいのある楽しい山」として広く人気を得ているわけですが、一方では誰もが常に遭難の危険と隣り合わせになる山でもあるのです。

ですから、遭難しないために、そして万が一何かが起こっても被害が最小限に済むように、地図・計画・登山届は必ず徹底しましょう。これは体力や技術と関係なく誰にでもできることですし、わずかな手間で大きな安全が得られます。登山届ポストは、少なくともイン谷口と栗原には置いてあるので、必ず提出してから入山しましょう。それ以外の登山口から入山するときは、家族なり知人なりにメモでもいいのできちんとルートなどの基本的な情報を書いて渡しておきましょう。口で伝えるだけでは忘れてしまったりするので、面倒がらずに必ず書きましょう。

最後に、携帯電話の話です。比良山系に関して言うと、琵琶湖側の斜面と稜線以外では携帯電話がつながる確率はかなり低いです。(たとえば、金糞峠ではしっかりつながっていたところが、峠を越えて沢の方へ2分も歩くと完全に圏外になります。稜線にしても、琵琶湖に面している稜線なら大体大丈夫ですが、武奈ヶ岳になるとかなり怪しいです。蛇谷ヶ峰はつながりました。ただし、いずれもauでの場合です。

自分自身への注意も含めて、比良での遭難&対策について書かせてもらいました。