第5次マンデルブロ集合

中心座標(0.8665,0.7765)・幅0.005 上の画像は、2週間ほど前に一度うpした第5次マンデルブロ集合の拡大図。

しかしながら、マンデルブロ集合は無限の複雑さを持っているから、コンピューターの計算有効ケタ数の許す限り、どこまでも深く深く分け入っていくことができる。

今回は同じ画像のエリアから、さらに深く入り込んでみた。

中心座標(0.8665082,0.7774905)・幅0.000014 前の画像からさらに350倍拡大したものであるが、同じような模様が再び現れている。しかし、周りに見える更なる「子」や「網目」などを見ていると、こちらのほうが鮮やかに感じる。

ちなみに、集合の全体を表示する「最初のスケール」と比較すると、その拡大率は20万倍にもなる。これは、最初のスケールを差しわたし1m四方の紙だったとすると、それがほぼ九州とほぼ同じ大きさに引き伸ばされたことと等しい。当然、倍率を上げれば太陽系スケールや銀河系スケールまで引き伸ばすことだって簡単な話である。ただし、このようなきれいな模様を出すためには、3倍ぐらいずつ拡大しながら人間の手で少しずつ表示位置を調整していく必要がある。とはいえ、このプロセスでさえ、10万倍拡大するのにわずか10回で済む。自然とコンピューターの脅威である。

ちなみに、いわゆる「最初のスケール」はこういう画像から始まる。

中心座標(0,0)・幅3 これを拡大して広がるのが、無限に広がる複雑系の世界というわけである。上の2つの画像は、そのうちのほんのひとかけらを覗き見したにすぎない。

数学は無味乾燥な計算の集合体と思われがちだが、こういう神秘的な、あるいは不気味な、模様を映し出してくれるのもまた、数学である。これは一切人間の手を経ていない、純粋に理論上のものである。コンピューターは単にその計算と表示のために登場したのみである。しかし、それを観察していくと、何かしらの菌や真夜中の都市の航空写真のようにも見えてくる。理論と自然の相似、それが不思議で仕方がない。