核の平和利用

この地球上にあふれかえっている核兵器。地球を何度でも滅ぼせるだけの量が蓄えられているといいます。

核兵器といえば、北朝鮮に「核を持つな」と叫んでいる当のアメリカこそが地球最大の核大国である、とかいう話に言ってしまいがちですが、そういう政治的な話はさておいて、今日のお題は「核と核兵器の平和利用」です。
一番妥当なのが、

現実味のある、とても良い話ですね。核兵器には高純度のウランを使っているので、核分裂用のウラン235の比率も高いですよ〜 でも、ちょっと現実的過ぎて面白くない。


ということで、お決まりの宇宙ネタでこういうの。

  • 惑星探査船の推進に使う

これはエイドリアン・ベリー氏の「次の500年」という本からの受け売りですが、宇宙船から核の時限爆弾を放り出して爆発させ、宇宙船に取り付けた反射板に当たるエネルギーを利用して推進する、というアイディアがあります。これなら、地球上にある核兵器をそのまま地球周回軌道上に荷揚げすればすぐに出発できます(ただ、最初からこれで発進すると地球上に死の灰が降ってくるので、しばらくは化学ロケットなりで遠ざかってやる必要がありそうですが)

そうでなくとも、原子力潜水艦の要領で、宇宙船の中に「小さな原発」を作ってしまえば、水を推進剤として推進する機構が作れます。原発なら蒸気の力をターピンで電力に変換するところを、蒸気をそのまま噴射してしまうわけです。水という非常に安価な推進剤だけで済むのが最大のメリットです。

これを使えば、有人火星探査はもちろん、太陽系中を飛び回ることだって夢じゃありません。わずか10年ほどの遅れで、木星への「2001年宇宙の旅」が実現するのです。夢のある話ですね。


え? もっと派手な使い方がしたい? でも人殺しはここのテーマじゃありません。じゃあ、こんなのはどうでしょうか。

記念すべき、初の宇宙での花火大会です。第1回の記念として、人類の黒歴史である核兵器を美しい光の花火で葬り去るという大イベントです。もちろん、核兵器の光だけではつまらないので、日本の花火職人が色の出る火薬をプラスしてくださいます。(たぶん)

1回ですべて炸裂させると地球の昼の側にいる人が見られないので、8時間おきの3回に分けて開催すれば、天候不順の地域を考えても、少なくとも半分ほどの人類がこの花火を見ることができるでしょう。雲に邪魔されたくない人向けに、宇宙シャトルのツアーも組まれることでしょう。

場所は、派手さ的には地球軌道上が最高なのですが、これだと、華麗な花火ショーが終わった後、とんでもない量の死の灰が降ってくる大惨事が待っています。ここで、ひとつの解決策は、通常の「周回」軌道ではなく、地球から「脱出」できる速度に花火を加速した上で、時限装置で爆発させることでしょう。そうすれば、爆発した後も花火全体の運動量と方向は変わらないので、灰や煙は無事に地球から離れてくれます。(いえ、実際にはそんなはずがありません。ほとんどが宇宙空間に逃げても、爆発のせいで、十分な量の死の灰が地球めがけて戻ってきます)

もう少し離れるとすれば、月と地球のラグランジュ点あたりでしょう。ラグランジュ点は、平たく言えば、「三つの天体の位置関係が変わらない特殊な場所」です。ラグランジュ点はいくつかあるのですが、やはり派手さは求めたいので、最も地球に近いL1でやるのが適当でしょう。そこで花火大会をした場合、全ての灰のうち地球に降り注ぐのは、0.02%です(自分がやった概算。かなり適当ですが桁のオーダーはそのぐらいです) これは楽しそうです。

もっと安全にいくなら、地球と火星の中間の太陽周回軌道ぐらいでしょう。しかし、ここまでくると、さすがに人類が大量に蓄えた核兵器とはいえ、地球上から見て面白いかは分からなくなってきます。

そして、この花火大会の最大の欠点は、仮に地球汚染は防げても深刻な宇宙汚染が起こるということです。人類の黒歴史に終止符を打つ華麗な花火大会も、宇宙を汚してしまってはまったくの本末転倒ですね。

おしまい

皆さんのアイディアも募集しますw