核兵器なんて甘い。究極の兵器はこれだ

平和利用だとかいうものが生ぬるくてイヤだと言う人向けに、宇宙時代の究極の新兵器を提案します。(なるべく科学的に整合性の取れた話をしているつもりですが、あくまで自分の勝手なアイデアに過ぎないので、必ずしも実現可能とは限りません。ご了承の上、↓どうぞw)
新兵器とは、核兵器のようなチャチなものじゃありません。「小惑星」です。

小惑星といえば、恐竜を滅ぼした原因とも言われているものです。次に同等の直径10km級の小惑星が落ちてきたら、人類はイチコロだとすら言われています。数mではなく数kmもの津波が発生し、衝突によって起こる地震の規模も桁外れ、巻き上げられた粉塵が太陽光をさえぎって寒冷化が進行し、やがて全ての人類が餓死または凍死・・・衝突の暁には、核兵器なんてメじゃない破滅のシナリオが用意されています。

しかし、そんなものが果たして今の人類の手に負えるのか? 正直言って未知数です。しかし、お金さえあれば現時点の技術で小惑星を兵器として使うのは、決して不可能ではありません。

まず、小惑星の調達元は、火星と木星の間のアステロイドベルトです。この中から手ごろなものを選び、地球へ運ぶのです。手ごろなところでいけば、直径100mのものであれば一つの都市に壊滅的な被害を与えるのに十分です。

「しかし、運ぶといっても、地球とアステロイドベルトは遠く離れているから到底無理では?」という疑問が生じます。しかし、実際にはそうではないのです。

それはこういうことです。

まず、太陽が作り出している重力場を「斜面」と見立てます。すると、あらゆる惑星は、その「重力のすり鉢」に沿ってぐるぐる回っていることになります(公転) これは、太陽が中心に向かって引く力と、惑星が本来直進しようとする力がつりあっているからです(当然ながらこの表現は厳密ではありません) スペースシャトルが地球周回軌道に乗っていられるのも、これと全く同じ理屈です。

しかし、仮に惑星公転速度が何らかの原因で減速してしまった場合、その物体はもはやそれまでの軌道を回っていることが出来ません。太陽の引力と惑星の直進力がつりあわなくなり、太陽に向かって落下をはじめるからです。もちろん、小惑星も例外ではありません。

つまり、小惑星の公転速度を少し落としてやることによって、後は何もしなくても太陽方向へ小惑星を誘導することが出来るのです。その上で、途中を公転する地球とうまく出会うようにさせるのです。

具体的には、小惑星にブースターを取り付けて公転方向に向かって噴射して減速させ、太陽へと落下する軌道に乗せます。最初に減速噴射を行った後は、何もしなくても勝手に太陽に向かって落下してくれます。ただし、途中で地球と出会うような軌道に乗せなくては意味がありませんから、ここでは緻密な軌道計算と正確な噴射が必要になります。

こんな感じ(テラヘタクソス。そんな自分にプゲラw)

地球へのアプローチ段階からは、2パターンあります。

1つは、このまま地球に向かわせて大気圏へ突入させるパターン。つまり、そのまま兵器として使ってしまうということです。

もう1つは、一旦地球の軌道に乗せて、使う時期を待つというパターンです。

前者は簡単です。太陽への落下ルートの途中に地球が来るように軌道と最初の噴射を調整するだけで大丈夫です。ただ、落とす場所をピンポイントで決める場合には、緻密な軌道計算をした上で、大気圏突入の前に調整噴射などをする必要が出てくるでしょう。こちらの利点は、宇宙から落下する速度そのままで地球に落とせるので、衝突エネルギーが大きいことです。(E=(mv^2)/2を思い出してください) 欠点は、言うまでもないことですが、途中で政局が変わったりしても軌道の修正が困難なことです。宇宙の法則は人間の都合には左右されないものです。それは限りなく冷酷なのです。

かわって、後者の場合は、一旦地球周回軌道に乗せる必要があります。地球にダイレクトに衝突することなく、かつ太陽に落下してしまわないようにするのです。落ちるにしたがって小惑星は徐々に速度を増すのですが、ある程度の速度までなら減速することなく地球の重力場でとらえることができます。仮に速すぎる場合は地球の手前で減速させなければなりません。この場合は再びブースターの出番となるわけです。

無事に地球周回軌道に乗ったら、いざ使うときが来るまでは何の手入れも要りません。仮にこれを引っ張ってきた人類がいなくなろうが、その小惑星は地球の周りを回り続けるのです。そして、いざ使うときが来たら、アステロイドベルトから誘導してきたときと同じ要領で、周回速度を減速し、地球の地表面へ向かわせます。原理は同じで、スケールが「太陽系」から「地球」になるだけの話です。もちろん、敵の都市をピンポイントで爆撃をするために、このときも緻密な軌道計算が必要となります。ただし、ド派手な流星祭りが目当てのときはこの限りではありません(核の花火大会とおなじく、これもこれで考えるのは面白いでしょう)

後者の利点は、その使用時期の柔軟性にあります。一方欠点は、運動エネルギーが比較的少ないことです。(ただ、大気による減速を考えると、両者ともそれほど変わらないのかもしれません)

これが、小惑星兵器の全容です。

どちらの方法を取るにしろ、このような小惑星兵器の恐ろしさは、想像しただけで身の毛のよだつものです。海に落ちればスマトラ島地震とは比較にならないような大津波、陸に落ちればクレーターを作ってあらゆるものを吹き飛ばすほどの代物です。使われた暁には、驚きや怒りを通り越して、全人類が唖然とすることでしょう。もしも、仮に直径10kmの物を引っ張ってこようものなら、唖然とする暇もありません。すべておしまいです。

世界の戦争好きのみなさん、いかがですか? この構想は、お金さえあれば今の技術でも十分可能なことです。いわゆる「SFの空想」とはわけが違います。こんな恐ろしい兵器を手にしてみたいと、本気で思いますか? こんな兵器は、もはや核のような「使えない兵器」ですらありません。

ところで、あくまで自分は非戦の立場なので、蛇足ながら、平和利用にも触れておきます。(ここからは、「次の500年」からの受け売りが半分ぐらい入ってます)

石油や石炭にも限りがあるように、地球上に眠る金属資源にも限りがあります。しかし、小惑星を地球周回軌道に乗せることで、その限界を突破することができるのです。アステロイドベルトには、ただの岩クズだけでなく、豊富な金属資源を含むものも数多くあるからです。

また、地球周回軌道上で宇宙船や宇宙ステーションを建造する際に、小惑星上に部品工場を作っておけば、地球上から重力を振り切ってシャトルソユーズで面倒な荷揚げする必要がなくなります。白金、金、ニッケルなどの多くの貴重な元素が小惑星には眠っていますから、その可能性は無限大です(ただし、白金や金を「貴金属」として地球上に持ち込んでしまうと、経済が大混乱に陥ります。あくまで「工業用」として使うことが肝心です。) もちろん、これは地球周回軌道でなくても、アステロイドベルトそのものを工業地帯化してしまうほうがスケールが大きい話でしょう。

小惑星は、ただの岩クズではありません。使い方によって、破滅の兵器にもなれば、貴重な資源にもなるのです。

おしまい