品格の落ちる地形図

ともかく、無くしたものは悩んでも仕方がないので、新品を買いなおすわけですが、ここで一つ問題が。実は、2.5万図「比良山」は、9月1日付で地形図の図式が「新型」に変わっているんです。この新型の地形図は、図の表示範囲が大きくなって使いやすくなったりしているのですが、それと同時に死ぬほど品がないんです。

の続きです。
一番ひどいのは、地名などの表示が旧型では「明朝」か「ゴシック細字」だったのが、新型では全て「太字ゴシック」に統一されていることです。

旧式では、地名などは明朝体か細字で目立たないように書かれていたのですが、それでいて、地名を読もうと思って目をやればスムーズに読めるスグレモノでした。それが明朝体や細字の良さです。フォントの使いどころをわきまえています。ところが、新式では、市町村名から小さな集落の名前までが全てごつごつとした太い文字で書かれていて、他の場所を見ていても目に付いてきます。これでは目障りで仕方がない。何でもゴシックで目立たせればいいってわけじゃないだろ!

もう一つ。谷沿いの川は、普通は奥に行くにしたがって細くなっていきますよね? そこで、旧型では谷の奥にいくにしたがって川の青線が細くなるように表示されていたんです。ところが、新型では同じ太さで統一されています。進歩するどころか、退化してどうするんだよ!

たしかにメリットもないわけじゃありません。標高や等高線の数字は読みやすくなりましたし、図の表示範囲も旧型よりもぐっと広くなっています。とはいえ、それを考えても、あの目障り感を打ち消すことは出来ません。

このことを感じているのは自分だけではないようです。

7月下旬の「淡路サイエンスチャレンジ」で、他のグループが地形を題材にしたテーマを研究していました。そこで使っていた地形図は2.5万図「鳴門海峡」、図式は例の新型です。そこを担当していた教授に話を聞いたところ、「そうだね、前のやつの方が品があってよかったよね。今のやつは、市町村合併とかの関係があって、地名とかを重視するようになった流れをくんでるのかもしれないな。」とおっしゃっていました。うちの父も「品がない」と言いました。

現在切り替え作業中ということで、日本全土にわたって数千区画ある2.5万図が旧型から新型に変わりつつあります。北アルプス周辺など、日本の大部分がいまだに旧型で発行されていますが、このままでは時間の問題でしょう。

少なくとも、「比良山」については9月に切り替わったばかりなので、何とか旧型で入手できないかと画策中です。国土地理院の謄本交付を使えば2600円で手に入りますが、これでは高すぎます。実は、大きな書店は切り替え時に旧版を全て返品するのですが、小さな本屋は返品せずに残す場合もあるそうです。

10件以上の「小さな書店」を電話で当たったところ、一軒だけ「滋賀県内の地形図を扱っている」と答えてくれたところがありました。そこを明日の学校帰りに訪ねます。果たして旧型の「比良山」は置いているのでしょうか!?