聖岳東尾根 5/15・2日目(→聖岳→聖平小屋)

2700m地点5:45→東聖岳6:10/6:15→奥聖岳7:35/7:50→聖岳8:25/11:10→聖平小屋13:15

今日はいよいよ核心部だ。東聖、奥聖、そして聖本峰と登っていく。

絶好の快晴で朝を迎え、気合を入れて登りはじめる。5月中旬だというのに気温はずいぶん低く、風もあったため、ニット帽までかぶっての出発だ。もちろん、雪はとてもよく締まっており、アイゼンの効きは最高である。

テント場を出ると、ここまでののっぺりとした樹林帯から、アルペン的な稜線へと急激に移る。その稜線は、ほぼ全てが雪に覆われていて、ビシッとした雪稜となって奥聖まで伸びていた。本当に素晴らしい。この時期の南アルプスでこれほどの雪稜に出会えるとは思わなかった。背後には富士山が雲の上に浮かび、こちらを見守っている。

稜線は両側ともにそれなりの角度で切れ落ちており、滑落すると危ない場所も多数あるが、決して難しくはない。核心は奥聖の手前になるが、ここも岩場は全て雪に埋もれており、ちょっとした雪壁(45度ぐらい?)を登るだけである。

とはいえ、奥聖まで登りきったときには思わずガッツポーズをしてしまったw

そこからは、広々とした雪の平原をのんびり歩いていけば、やがて聖岳本峰にたどり着く。

聖岳頂上からの展望は絶品だった。上河内岳側はガスがかかっていたものの、赤石岳悪沢岳中央アルプス伊那谷、遠く北アルプス、そして忘れてはいけない富士山が見えていた。

しかし、山頂の標柱のところにザックが2つ残置されていた。今登っている人はいないはずで、なおかつザックはやや風化した感じもあり、年末年始の遭難のときのモノと思われた。(下山後にさわら島の人に聞いたところ、やはりそうだった。山頂まで登りきったところで力尽きてしまったという。一人死亡、一人凍傷)) そういう場所に今自分がいるということに、嫌でも気付かされる場面だった。

そうは言っても、素晴らしい山頂に変わりはない。時間が大幅に余っていたこともあり、結局、なんと3時間ほども滞在してしまった。

そして、聖平へ向けて下山を始める。こちらは南面だけあって、残雪量は東尾根と比べると驚くほど少ない。森林限界より上では、夏道は8割露出していた。逆に、森林限界より下では、硬めの雪がゴッテリと残っており、雪で登山道が隠される上、かさ上げ効果もあって、しばしば藪とのバトルになる。

途中からは、本来の登山道(があるはずのヤブ地帯)を外れ、沢沿いに聖平へとまっすぐ下ることにする。雪の上を歩ける場所が多いが、沢が露出していたり、雪の薄そうな気配が漂っているところもあり、慎重にルートを選びながら下る。結局、一度も雪を踏み抜くことなく、聖平までたどり着いた。

今夜は、冬季小屋を使わせてもらう。数年前に新築されたばかりの、とてもきれいな小屋だった。もちろん貸切であったw