厳冬期の南八ヶ岳 2/7・5日目(硫黄岳・横岳・赤岳縦走)

赤岳鉱泉7:30?→赤岩の頭8:55→硫黄岳9:15/9:25→硫黄岳山荘9:35/9:50→横岳奥の院10:45→赤岳天望荘12:20/12:45→赤岳13:25/13:40→分岐14:00→行者小屋14:35/14:45→中山展望台14:55/15:50→赤岳鉱泉16:10


いよいよ本丸に挑むときがやってきた。硫黄岳〜横岳〜赤岳の岩と雪の稜線。

起きてみると外はまだ風雪模様だったが、携帯で仕入れた天気図から考えて、回復に向かうのはほぼ間違いない。・・・と信じて赤岳鉱泉を出発する。

Auだと、赤岳鉱泉ではメールを送るのが精一杯だが、昨日は奇跡的にWebにもつながり天気図を仕入れることもできた。ちなみに使用するとき以外は必ず電源を切りましょう。そして、自分の場合、予備電池は2つ持参してますw)


硫黄岳への道に入ると、日曜日とあってか、先行者の足跡が見えた。

アイゼンをつけずに出発したところ、硫黄岳への道は意外に急で、踏み込むと微妙に滑って歩きにくい。それでもしばらく我慢して歩いてしまったが、休憩のときに装着。う〜む、雪が締まっているのでよくグリップして歩きやすいw やれやれ、すぐにつけておけばよかったorz  俺アホスww



張り詰めた空気の中、真っ白な樹林帯の中を行く。



樹林が疎になってくると、いよいよ稜線は近い。

稜線に出ると烈風で休憩なんてできないので、樹林帯を出るギリギリ手前のところで休憩を取る。

ペットボトルの水はゆすられていたおかげで比較的無事だったが、飲んでみるとあごのあたりのお肉があまりの冷たさに麻酔薬を打たれたような感覚になり、少しだけビビる。テルモスに入れたスープを飲んで体を温めなおす。



ザ・シュカブラな稜線。

2人パーティー先行者が見えたが、強風に苦労しているように見えた。歩き出してみると、やはりきつい。風だけなら赤岳にも全然負けていないw



ザ・シュカブラw



これが頂上。爆裂火口に近づかないようにねww



山頂で迎えてくれた外人さんお二人。山頂に着くなり"Heeeeeey! Nice weather!?"って感じでノリノリでしたw つたない英語でしばらく会話を楽しみますた。


そして、いよいよ横岳縦走コースに突入する。この先はトレースがなく、時折うっすらとアイゼンの跡が残っている程度。緊張感と高揚感が同居する、妙な気持ちでスタートする。



硫黄岳山荘のすぐ手前。山荘は左側の斜面に隠れていますが、すぐのところです。

このあたりは登山道がきれいな雪の道になっていて、アイゼンがよく効き、無雪期より楽なぐらいです。南八ヶ岳の稜線では一番楽に歩けるところではないでしょうか。だたし、風を除けばww

登山道は強風で休憩できる状況ではないため、硫黄岳山荘の陰に入って休憩を取る。小屋の陰はほとんど風がなく、テントも普通に張れそうなぐらいに穏やかだ。(ま、ひとたび風向きが変わればあぼーんですがw)



そして登ります。ここはまだ普通の登山道。鉄の柵まで張り巡らされていて、迷いようがありませんww



大同心? 小同心?



じゃんっ


さて、広い斜面を登りきり、トラバースを過ぎると、いよいよ岩の稜線が始まる。「大丈夫だろうか」という不安がよぎったが、赤岳に2回登頂した経験が勇気付けてくれた。とにかく慎重に行こうと決め、前進した。

すると、早速怪しい箇所が現れた。細い岩尾根で、夏道はおそらく佐久側をトラバースしているようだが、いかんせん雪に埋もれていて道が分からない。雪の中を泳いでも良いのだが、雪崩が怖い。諏訪側はどう見ても渡れない岩場。岩尾根の上が行けそうな気がしたので、5歩前進してみたが、無理だと悟って引き返した。(強風に煽られて怖かった・・・)

悩んだ末、岩尾根の佐久側を巻いた。ピッケルを頼りに岩の中の手がかりを掘り出しながら進んだ。雪崩の点からすると、無防備に雪の中を泳ぐよりはマシだろうと思っったので。このシーンが、ピッケルが積極的な登攀に役に立った初めての瞬間となったw



で、渡ってきた岩尾根。写真だと分かりにくいですが、自分の手と足の跡がついてますww



そしてまた岩尾根w ここは諏訪側(右側)に鎖がついているので、難しくはない。



横岳奥の院から登ってきた尾根を振り返る。最後はやや急な雪壁なので、ピッケルを使うと安心だ。



横岳最高峰、奥の院です。


ここからは再び平和な稜線がしばらく続く。ただし、諏訪側は常に断崖絶壁なので注意が必要。



赤岳が見えてきた!



アップ



そして阿弥陀岳


しばらく行くと、再び険しい岩尾根になってくるが、地蔵の頭〜横岳奥の院区間は巻き道が中心で、難しい岩尾根を通すことはない。

↓で書く二十三夜峰付近以外は、ルートはきわめて明瞭。巻き道に入るときに、間違えて岩尾根を直進したりしないように注意。



これが最初のトラバース。とても簡単。



鉾岳のトラバース1 幅があって歩きやすいです。



鉾岳のトラバース2 見た目ほど級ではありません。


ただし、この先の二十三夜峰付近で下り口がやや分かりにくい場所があり、佐久側を少しの距離だけラッセルしてトラバースする箇所があった。たぶんこれで正解だと思うのだが、雪崩れやすい状況のときはどうしたら良いのだろうか。(懸垂下降か撤退かしかないのか!?)

トレースがあれば簡単だと思うが、こういうようなルートが雪に埋もれやすい場所では、行く先の稜線を見て、鉄の柱などの手がかりを探しながら、どのルートに夏道がありそうか推定する必要があった。


二十三夜峰から下ると、一旦、主稜線から佐久側に回り込んだエリアに入り、風が急に穏やかになる。氷点下10度は間違いなくあるはずだが、風がなく、太陽光が照っているだけで、ポカポカと暖かい。

ということで、赤岳4連発だw










佐久側から主稜線に戻る際、3回目の雪の斜面を横断する箇所がある。こここそ雪崩れやすいときはどうすればいいねん!という感じの場所だったが、幸いにもこの日は雪が安定しているようだったので、普通に雪の中をボフボフと横断した。



その結果がこれ。うっすらとトレースがついているのがお分かりになりますでしょうか。



そしてまた阿弥陀岳。太陽光の当たり方が絶妙すぎる。



急に見えますが、とても歩きやすい部類です。



地蔵の頭が目と鼻の先に見えてきました!

ここまでで横岳縦走は終了。結局、核心部を抜けた後の写真撮影中に単独行の方に抜かされただけで、結局このコースは全て自分がトップバッターで歩いたことに。達成感ももちろんだが、理想的なコース・天候・条件で、本格的な冬山ルートを歩き通せたことがありがたかった。



下っていらっしゃいます@地蔵尾根



横岳を振り返る。



富士山は忘れた頃にやってくる。



こんにちは〜

赤岳天望荘でトイレをお借りする。中にいるのはなんとなく気まずいwので、外の小屋の陰で休憩を取る。



そして出発。



激しく雪煙が上がってます。



八ヶ岳山麓、諏訪の街、そしてその先に北アルプスが遠望できます。



ここまで来るとトレースはバッチリ。



3回目の赤岳登頂まで、あと10mw



山頂から。中景は権現岳、遠景は南アルプス鳳凰北岳、甲斐駒、仙丈)



またしてもお遊びw



いつかはあの頂に・・・



で、文三郎方面に下ります。高度感を強調して撮影w なぜかおとといまではなかったフィックスロープが設置されていました。てか、こんなところでロープって使うモノなの? いや、正直自分は知らないけど・・・



雪の堅さは適度。横向きになりながら降りていく。



阿弥陀岳〜〜〜w



一面に広がる真っ白な針葉樹林帯。こういう景色は八ヶ岳ならでは。

しかし、一面に広がる針葉樹林も、遠くない将来には広葉樹林によって取って代わられる運命にある。八ヶ岳のような「若い山」は土壌がやせていて針葉樹林の独壇場だが、長い年月を経て次第に土壌が豊かになることで、針葉樹林は駆逐されていく。いわゆる植生の遷移だ。・・・そんなことを実物を見ながら考えられるのも、山のよさかも知れない。



雪の模様と阿弥陀岳



だいぶ下ったところから、またしても阿弥陀岳。雪煙が激しいです。



そして樹林帯へ。よく晴れていたので、中山展望台に寄り道することに。



中山展望台より横岳連峰



中山展望台より赤岳


携帯電話がよくつながったので、自宅への連絡やはてなmixiへの投稿をした。結構な時間素手でいたが、風がないおかげで、少し冷たさを感じる程度で済んだ。



夕方の赤岳


最終日の夜は、赤から鍋だった。肉も野菜も全てを使い切る。

日曜日の夕方になってテントの数も減り、赤岳鉱泉は再び静けさを取り戻していた。そして、全てをやり終えて、妙な安堵感に浸る自分がいた。昨日までのあれこれ逡巡していた自分と違う自分が、そこにいた。