厳冬期の南八ヶ岳 2/8・6日目(赤岳鉱泉→美濃戸口・帰宅)

赤岳鉱泉6:35→美濃戸口8:45


とうとう帰る日がやってきた。

4時頃に起きて、赤から鍋の残り汁でラーメンを作る。こんな料理を食べるのも、もう当分先になりそうだ。

頭の中で手順をシミュレートしておいたおかげで、それほど手間取ることなく準備を整える。テントを撤収するときも埋めておいたアンカーが抜けないということはなく、スコップで掘り出して撤収完了。


夜が明けてみると、曇り空だった。八ヶ岳といえど、完璧な晴天は一日限りらしい。


重たいザックを担ぎ、5泊にわたってお世話になったテントサイトに別れを告げる。何張りかのテントはまだ残っていたが、土日組はすでに帰った後で、とても静かだった。



何度も振り返りながら、下っていった。

途中、何人かとすれ違った。行ってらっしゃい!



ロングパス。ゴールの八ヶ岳山荘まであと100m!


バスまでは十分時間があったため、トイレをお借りしてアンダーウェアを脱ぎ、ジャージと綿シャツの下界モードになった。あとは休憩所で荷物の整理をしたりするうちに、バスがやってきた。


バスに入ると、暖房独特のもわっとした空気に驚いた。プラティパスとペットボトルの中で何日間も溶けずにいた氷は、座席においておくとみるみるうちに溶けた。

赤岳鉱泉は、小屋も営業していたし、トイレもあったし、人もそこそこいて、冬山としては本当に文明化の進んだ場所だった。にもかかわらず、暖房ひとつに感激している自分がいた。寒さも、烈風も、何も恐れなくていい。ただ文明が素晴らしかった。

GWの北アや近場の低山でステップを踏んで、登山4年目にして、ようやくひとつの通過点である「厳冬期の八ヶ岳」を無事にクリアすることができた。

そしてバスが動き出した。乗客は帰りもまた自分だけ。いいじゃないか、これが自分の山のスタイルなんだ、きっと。

うっすらと雪の積もった森を抜けて、バスは原村の斜面に出て行った。


これから自分はどんな山を目指すのか。そして、自分は就職を通して山とどう付き合う人生を選ぶのか。

そんなことを思いながら、ゆったりと走るバス車窓から八ヶ岳の姿を眺めるのだった。