厳冬期の南八ヶ岳 2/5・3日目(地蔵尾根より赤岳往復)

赤岳鉱泉6:55→行者小屋7:30→赤岳天望荘9:30/10:20→赤岳11:05/11:10→赤岳天望荘11:35/12:30→行者小屋13:25/13:35→赤岳鉱泉14:20


この日は頑張って4時半頃に起きた。

シュラフの表面に霜が乗っていたが、払えばすぐ落ちる程度。ただ、カバーがない分保温力はやや落ちるようで、若干寒く感じた。どうせ朝起きたときに払うのは同じだから、今夜からはまたカバーありに戻すことにしようw

冬山ではBC制でも準備することが多い。相変わらず手間取ってしまい、7時前にようやく出発できた。昨日はアイゼンなしだとやや歩きにくかったので、最初からアイゼンをつけて出発した。



行者小屋までは昨日と同じ道をたどり、今日は地蔵尾根に取り付く。


またしても先行者はなし。トレースはしっかりあるが、足跡らしきものは昨日の1人分?しか残っていない。天気は曇りでどんよりしており、場所によっては稜線から風の音が聞こえてくる。

温度計は樹林帯でも氷点下17度前後を指していた。空気は相変わらず冷たいが、あまり寒さを感じないのは湿度が低いおかげだろうか?


歩き出しから明らかに右足より左足の方が冷たく、昨日のようにしばらく歩けば良くなると思っていたが、1時間ほど歩いて、休憩を取ってもなお、良くならないどころか、左足の感覚がなくなり始めた。

これはおそらく靴紐の締めすぎで血行不良になってるな、と思い、アイゼンとスパッツを外して結びなおしたところ、血行が回復して良い具合になった。

(昨日の靴下のしわと合わせて、出発時の調整が重要ということを実感。次の横岳縦走ではこの2点を気をつけたおかげで、靴の再調整をせずに済んだ。泥臭く登ってるおかげでいろいろと学ぶところが多いですw)



樹林帯が切れる頃、一瞬だけ晴れ間が広がった。


森林限界を越えると、いよいよ岩稜が始まる。階段やクサリ(大半は埋まっているがw)に導かれながら上を目指す。



ここはまだやさしい。


登るにしたがって風は強まってくる。険しい岩稜では、滑落すれば止まる前に岩に激突する。歩く技術としてそれほど難しいわけではないが、リスクの大きさは一級品。一歩ずつ慎重に高度を稼ぐ。



そして地蔵の頭に到着。ちなみに尾根の途中には雪に埋まって頭だけが出ているお地蔵さんもいましたw



烈風に叩かれながら稜線を行くと、赤岳天望荘が現れる。風車は全部凍り付いて止まってましたw

そして、この赤岳天望荘、2月上旬〜3月中旬まで厳冬期営業を行っている! 折りしも前日から営業を始めていたということだ。中に入ってしばらく休憩させてもらうことにする。



内部。あったかい・・・


携帯がガンガン通じたので、ここから自宅にメールをしたり、天気予報を収集するなどした。
天気図は里雪型から山雪型に変わりつつあり、その後移動性高気圧が来るという予報だった。明日はさらに風雪が強まっておそらく稜線は行動不能になるが、夜には寒気は抜け始め、あさっては天候が回復し晴天に向かうと考えられた。

当初はあさって下山の予定だったが、この好天予想を逃すわけにはいかず、滞在を1日延長することを決めた。(休みは1日余裕を見てあったし、食料も十分余っていた) 明日は停滞、そしてあさってに本丸の横岳縦走だ。

しばらくすると、テント場で一緒だった2人組が上がってきた。入れ替わり出発する。



装備を整えて、再スタート。赤岳まで標高差200m!



ここからのルートはそれほど難しいところはなく、強風でガレ場の露出した斜面を登った後、雪稜をたどって赤岳に至る。文三郎からのルートが、易→難なのに対して、地蔵尾根からだと難→易というイメージ。


温度計を確認するとなんと氷点下20度に達していた。今回の山行で確認できた最低気温である。風速が最大20mとすると、体感気温は氷点下40度・・・ だが、体の末端が冷えまくる以外は、動いている限りそれほど寒さを感じない。

頂上の手前で大きな岩があり、諏訪側からの風を避けられる場所がある。一呼吸おくならここが最適だ。



頂上のすぐ手前に赤岳頂上小屋がある。冬季休業中。



なんか写真的には穏やかそうですが、またしてもすごい風ですw


本来は阿弥陀岳を目指す予定だったのだが、この天候で行く気にもならない。それに、昨日下ったばかりの文三郎をまた下るのもあまり乗り気ではない。天望荘に行けばまた休憩もできる!という誘惑も加わって、往路を戻ることにした。


暴風に煽られはするものの、体力的には楽なのですぐに天望荘まで下りついた。



再び天望荘。気温表示がすごいことに・・・(晴れていた昨日の朝はもっと寒かったらしい。氷点下26度とか言ってたかな?w)

コーヒーを頂いて、しばらく休憩させてもらう。2人組の方は、結局赤岳には向かわずにここに止まって様子見するとのこと。



さあ下ろう。暴風雪がすごいので、サングラスからゴーグルに替えた。スキーで使っていたダブルレンズ。下り程度の運動量なら曇らない。(登りだとたぶんアウト。ゴーグルは下りに温存するべしと事前学習で知った。)


今日は一度も晴れ間を拝めなかったため、地蔵尾根を下降する前に、地蔵の頭で「5分だけ晴れ待ちしよう」と決める。


すると・・・



赤岳の全貌が! おぉ、これぞガイドブックに載ってた赤岳の姿だ!(爆)

結構枚数取ったんですが、2日後に晴天に恵まれたので、ここはこの1枚だけ。



太陽はすぐに隠れたが、地蔵尾根を下り始めても、しばらくはガスが晴れていた。


冬山では登りと下りの危険比率がより一層大きくなる。(無論下りの方が危険) 森林限界を下回るまでは全くもって油断のできない道が続く。一瞬、違う尾根に引き込まれそうになるが、すぐに気がついて正規ルートに復帰する一幕もあった。

往路は天望荘で2人組に追いつかれた以外は誰にも会わなかったが、復路は地蔵尾根で5人ほどの登山者とすれ違った。天望荘泊まりウラヤマシスw



で、行者小屋まで降りてきました。

この頃になると、稜線には晴れ間が出ていた。あちゃー、これなら阿弥陀岳行ってよかったかもなぁw まぁいいや〜


好天はすぐに終了し、夜にかけて赤岳鉱泉でも風が出始めてきた。明日はおそらく停滞だろう。

夕食はとんこつしょうゆ鍋。レシピはいつもと同じ。生肉を山で食べられるのはとてもありがたいし、力が湧いてくる。