厳冬期の南八ヶ岳 2/4・2日目(文三郎尾根より赤岳往復)

赤岳鉱泉8:15→行者小屋8:50/9:15→稜線分岐9:25→赤岳10:45/11:00→稜線分岐11:35/12:05→行者小屋13:50→赤岳鉱泉14:15


5時半か6時ぐらいに起床。もう少し早起きするつもりだったのだが、延長してしまった。寒いとなおさらマウンテンタイムへの移行がしんどい;

テントはもちろんのこと、シュラフカバーの内側にびっしり霜がついており、シュラフ本体を濡らさないようにするのに神経を遣った。タオルでガリガリはがして、テントの外で払って捨てる。外気温は氷点下15度。しっかり寒いからこそこういう芸当ができる。

朝食は味噌煮込みうどん。味噌好きにはたまらない味だ。

出発の準備やら、紅茶を沸かしたりやらしていて、すっかり時間をロスしてしまった。まぁこの先は長いから、まずは文三郎尾根からの往復から入門することにしよう。


ひとまずアイゼンはつけずに出発。歩き出してみると、体はそれほど寒くないが、足がとても冷たい。冷え切った登山靴に足を入れて雪の上を歩いているから当然といえば当然だが、これまでに味わったことのない感覚だ。時折足を前後に振って血行を促進させようとするが、あまり改善しない。

中山乗越までは30分ほどの軽い登りで、途中で中高年の3人組を追い越す。中山乗越からゆるやかな下りとなり、すぐに行者小屋に到着する。



どっさりと雪を載せた小屋。テントが4張りほどあった。(その中に、8月に南アでお会いした方(そのときは単独で歩いていた)の大学と同じ名のテントがあった。途中、文三郎尾根を登っているときに、アイスクライミングのコールでその人の名前が呼ばれるのを聞いたが、結局4日間の滞在中にお会いすることはできなかった。残念w)

靴下を履くときによく伸ばさなかったために、しわが寄ってしまい、靴を脱いで履きなおす。それなりの時間ロス。アイゼンも装着した。

3人組の方たちにお別れのあいさつをして、行者小屋を後にする。



文三郎尾根に取り付く。トレースはあったが、昨日登ったと思われる人の足跡程度で、今日の先行者はいないらしい。ちょっと心細い・・・


文三郎尾根は、比較的ゆるやかな傾斜の続く尾根道である。階段やクサリなどはほとんど隠れており、雪の斜面をアイゼンをきかせながら登っていく。

比較的早い段階で樹林帯が切れるため、少し登るとすぐに展望が開けてくる。一方、暴風時は風にさらされる時間が長くなるのが難点。この日の文三郎尾根はそれほど風は強くなく、時折写真を撮りながら、快適な登行となった。

しばらくは雲の多い天気だったのだが・・・



赤岳が雲の中から降臨!



そして、稜線からは遅い日の出が。稜線ではものすごい勢いで雪煙が舞い上がり、雲が風に乗ってすっ飛んでいく。



これから登る道をまばゆく照らします。


「今まさに冬山を登っている」というリアルな感覚が常に自分の中にあった。自分が確かにここに存在しているという実感が、とても強く湧いてくる。


最初は尾根通しになっているが、途中から斜面をトラバース気味にして分岐点へ向かう。



そして稜線に出てきた。「冬の八ヶ岳の風」にここで初めて出くわす。夏山と違って、ほとんど絶え間なく風が吹き続けている。

休憩のため、20mほど後退して風の弱い地帯に逃げ帰る。(この日は風が強いのは稜線だけで、少し下がると穏やかだった。)



そして赤岳へ向かってクライムオン。

最初は広い斜面をジグザグに登っていく。猛烈な風に煽られながら、一歩ずつ着実に高度を稼いでいく。



登山道は途中から稜線を外れ、右手のルンゼを巻くようにして上がる。(ルンゼ:沢状地形) このあたりの風は比較的穏やかだ。

登山道にはあちこちにクサリが張り巡らされていて、手がかりに困ることは無い。むしろ場所によっては邪魔なぐらいw クサリとピッケルを手がかりにしながら、ところによってはアイゼンを蹴りこんだりフロントポインティングしたりして登る。



装備w 目出帽が左目を邪魔してます・・・(まっすぐ被っても髪の毛の流れのせいで徐々にずれてきちゃうんですww)


最後はハシゴや雪稜を登って、山頂にたどり着く。右手(佐久側)は、岩場が無い代わりにかなりの急斜面になっていて威圧感がある。滑落注意!



そして頂上に到着。雪がくっついていて看板が読めませんがw



頂上の様子。折りしも晴れ間が広がってきた。



雲が稜線づたいに流れていきます。すごい勢いです。



誰も来ないのでセルフで撮影。やったぜ!w


風の当たりにくく、かつザック滑落の心配のない場所で休憩を取る。軽く行動食をとって、写真撮影をして、下山にかかる。初日なので、往路をそのまま戻ることにする。



下りも慎重に。傾斜が急なので、横向きや後向きがメインになる。



かなり天候が良くなってきた。阿弥陀岳が大きくそびえている。写真で見るとどってことなさそうですが、相当な風です。まぁでもカメラを構える余裕があるということは、おそらくまだ大丈夫ということなのでしょうw



雪稜を下る。



阿弥陀岳と中岳。文三郎の下のほうでは、小ぶりなはずの中岳の方が三角形で端整な山容に見える。


文三郎尾根に入るとすっかり風はおさまり、ケータイカメラで「話のタネ用画像」を撮影する余裕も生まれてくるw さらに安全なところまで下ったら、あとはシリセードで楽しく滑り降りる。冬らしい快適な天候の中、行者小屋まであっという間にたどり着いた。


行者小屋でアイゼンをはずし、しばし休憩をとる。



赤岳鉱泉手前から、大同心。水滴?がついて残念な写真になってますが・・・w



テントまで戻ってまいりました。



温室効果のおかげで、テント内の温度はなんと20度に達していました。この暖かさを利用して、一旦アンダーウェアも全部脱いですっきりする。


夕食は、赤から鍋。〆のラーメンなしで十分お腹いっぱいになったので、汁を残して明日の朝にまわすことにした。

昨夜はシュラフカバーにビッシリ結露してしまったので、今夜はシュラフのみで眠ってみることにした。さて、どうなるか・・・