南アルプス南部縦走 9/4・5日目(百間洞〜聖岳〜聖平)

百間洞山の家4:50⇒大沢岳分岐5:45/5:55⇒中盛丸山6:20/6:30⇒小兎岳7:15/7:20⇒兎岳8:20/8:45⇒聖兎のコル9:25⇒聖岳11:15/12:10⇒小聖岳12:55/13:00⇒薊平13:35⇒聖平小屋13:55

引き続き3時起床。外はさすがに曇っていたが、雲には切れ間があるらしく星が少しだけ見えた。案外今日も悪くないかもしれない。

夜中に大雨が来ることを想定していたのだが、実際にはパラパラと10滴ぐらいw降った程度で、フライシートの外側はほとんど濡れていなかった。それよりも朝食を作るときの内側の結露の方が激しいw まったく昨日の苦労は何だったんだw

朝食はスガキヤラーメン。

例によってまだ暗い中テントの撤収を済ませて出発する。晴れていれば大沢岳経由のルートにしてもよかったのだが、あいにくの天気であるためパスして短縮ルートを取ることに。こちらの方がコースタイムも1時間ほど短い。

小屋でトイレを済ませていざ出発。分岐点に出るまでの1時間ほどはうっとうしい・・・もとい南アらしい樹林帯歩きが続く。

大沢岳の分岐点に着くと、冷たい風が強く吹きつけてきた。休憩中にもみるみるうちに体と指先が冷える。例によって学生団体が追いついてきたので、「チンタラ行くんで今日も2時間遅れぐらいで着きますw」とあいさつをして、先行してもらった。

動き出せば寒さはどうってことはない。しばらくすると稜線のガスは晴れて、青空も垣間見えるようになってきた。今日も意外といい天気かもしれない。

ほどなくして中盛丸山に到着。山頂を示すのは一本の棒だけ。


日光が差してこないのは惜しいが、赤石岳方面の雲のかかりかたがまさに絶妙である。


これから目指す聖岳もしっかり見える。


北のほうはすでに前線が通過したらしく青空が広がっていた。南アでも北部の方は青空の区域に入っているらしい。ここも上空は曇り空だが、ガスは取れていい気分である。

中盛丸山からは下りとなり、鞍部付近の少しの間だけ樹林帯を通過する。小兎岳まで出ると聖岳の展望が素晴らしい。光と雲が聖岳を包み込んでいた。

小兎岳から少し下ると、行く手左側(東側)に水場の矢印がある。

で、右側(西側)にはなんと2張り分ほどのテントスペースが。ちょうど百間と聖平の中間地点ということもあって黙認されていると思われるが、原則的に国立公園内での無断幕営は違法です!w 展望も良く気持ち良さそうなサイトではあるが、夜は風が強そう。百間洞〜聖平は北上コースでも8時間程度の行程なので、緊急時以外は利用しないようにしましょう。万が一利用するとしても早朝のうちに撤収をw(雪投沢キャンプ地とかは復活してくれてもいいもんだが・・・)


その先、小兎岳から兎岳までは適度なアップダウンを伴う平和な道が続く。



このあたりも晴れの区域に入ってきたらしく、いい感じの天気になってきた。

聖岳まで行くと伊那谷との位置関係から携帯がつながらない予感がしたので、兎岳でチェックをしてみると果たしてつながった。例によってEメール連絡を入れ、ちょっと長めの休憩を取る。

兎岳から少し下っていくと、裏に避難小屋がある。自分は通りがかりに少し離れたところから見ただけだが、どこの情報を見ても「荒廃」「宿泊は困難」とのことである。この小屋の前には数張り分のスペースがあるらしく、中岳の小屋番の方は「兎岳の避難小屋のところはテントOK」と言っていた。



兎岳から聖兎のコルを経て森林限界に達するまでは、狭苦しい樹林帯の中、段差の大きい歩きにくい道が続く。痩せ尾根になっている箇所も多いので注意して通過しよう。

聖兎のコルまで下ると、いよいよ聖岳に向かって最後の登り返しになるのだが、これがまた長い。この頃になると本格的にガスがわいてきて気分的にも参ってくるw 休憩適地がほとんどないのですっかりへばってしまったが、森林限界を越えたところで10分ほどの休憩を挟みながら登っていく。



最後は這うようにして登りきった。今縦走最後の主要ピークにして、日本アルプス最南端の3000m峰、聖岳

(なお、日本最南端の3000m峰は富士山。ただあの山は氷河期以後に形成された火山の独立峰なので日本アルプスと比べるのは邪道だと思う。登らずにグダグダ言うのは負け惜しみっぽいので、半分嫌々ながらもそろそろ来年あたりに登りに行くつもりw)

悪沢岳のときのようにガスが晴れないかと期待してしばらく待ったのだが、時折易老渡方面の一部分だけガスが取れることはあったが、肝心の赤石・悪沢方面の展望は皆無だった。

14時までに聖平着という目標だったので、そろそろいい時間になった。結局1時間ほど山頂で過ごしてから聖平へ下り始めたのだが、ここからがまた大変である。標高差800mの下り、しかも地形図を見てると結構急・・・ もうね、何度も書いてるけどさ、急な下りは一番苦手なんだよぉぉぉぉぉぉ!

そして、大斜面につけられたつづら折のこの登山道、砂礫で滑りやすい上に石も大半が浮石w 登山地図にも「砂礫の大斜面」「スリップ注意」とある。はい、ここは滑る前提で歩きましょうw



鞍部まで下りきると、標高差ベースではほぼ半分である。前方の小ピークが小聖岳

この鞍部の脇の沢が水場になっているが、水流は細く、涸れることがあるらしい。で、水場と稜線を挟んで反対側にはこれまたテントスペースw もちろん違法。ここは聖平まで2時間圏内なので、小兎のコルのような言い訳はききません。聖平で張りましょう。写真は撮るの忘れましたw

ここから痩せ尾根の軽いアップダウンを伴った道となる。小聖岳で小休止。


聖岳から下るとすぐに樹林帯となる。小河内岳〜高山裏と雰囲気的には似ているが、こちらの方が開放感がある。傾斜も次第に緩やかになって歩きやすくなる。


行く手に聖平の草原と立ち枯れが見えてくると、聖平小屋は目前である。

下りきったところの分岐を小屋方面に折れ、数百メートルの木道歩きとなる。木道は平原の侵食を防ぐために最近設置されたらしい。脇を走る旧登山道の侵食が痛々しく、他にも鹿による高山植物の食害などの被害が出ているとのこと。「鹿が入らない場合に植生が回復するかどうか調査中」という柵囲いの部分もあった。こちらも確か平成19年?だったかな、かなり新しい取り組みである。

当初の予定通りほぼ14時キッカリに聖平小屋に到着。

着いたら第一に優先するべきはサンダルへの履き替えw 特に下りでは足の裏が過剰にマッサージされるため、いつも足の裏が痛くなり、熱を持ってしまう。一方、出発前に心配していた膝痛は皆無で、関節系はきわめて快調である。そして第二優先はトイレw 先ほどから運気が上昇(ry

さて、テント場は評判どおりの広く開放的なサイトで、トイレも近い。ここの小屋とトイレはかなり新しく快適で、トイレはなんと水洗。水場も蛇口式で水量豊富。小屋のサービスもとても良く、小屋泊・テント泊を問わず、パックのお茶・オレンジ・クッキーのサービスをしている。その後に日本酒を買ったときにはチーズを一切れサービスしてくれたりw 感謝。

今回のルートを歩いて、荒川小屋、百間洞山の家、聖平小屋、それに横窪沢小屋は、いずれも新築の小屋だった。昔の南アといえば小屋のボロさ、もとい山男の小屋らしい風情が満点だったらしいが、特に南部はこのところ設備更新が相次いでいるようだ。南アらしさが損なわれるとして残念がる向きもあるようだが、どこかしらの軟派登山者にとってはとてもありがたい傾向だ。

テント場は今日も学生団体と自分の2張りだけで、小屋は10人ほどで昨日百間洞でお会いした方が何人かおられた。

学生団体の方たちは、できれば明日中に畑薙まで下りきってしまいたいと言っていた。何でも「一刻も早く下山して下界の人工物を見たい!w」とのことで、明日はダムのコンクリートの上で寝るらしいw こちらはというと、特に急ぐ旅でもないし、そもそも標高差2000mを一日で下るなんてぞっとする話であるからして、明日は横窪沢に泊まるつもりだった。

そうすると今夜が最後になるということで、夕食後にテント場のテーブルで一緒に飲むことになった。(テント場に立派な木製のテーブルやイスが置かれているのは今回の縦走では聖平だけw)

なお、明日泊まる横窪沢小屋は、9月から無人となり一部無料開放されている。今夜聖平泊の人で明日横窪沢に泊まる予定なのは自分だけだし、ロケーション的に考えても明日他方面から来て横窪沢に泊まる人は皆無か、いたとしてもかなり少ないと思われた。少なくとも高山裏のような混雑はないだろうし、万が一混み合ったらまたテントに逃げ込めば良いかな、とw したがって、おそらく今日がテント泊としては最後になるだろう。

それまでは時間があるので、例によってラジオを聴きながら荷物の整理やストレッチをして、今山行最後のテント生活のひとときを過ごした。



夕食前に作ったホットレモン。レモン半分を絞った果汁と水200ml、そして砂糖。行動食の残りのビスケットなどと一緒にいただく。疲労回復に最適!

天気も割とよかったので夕食は外で作った。からし明太子パスタ・コーンスープ・パン1個。パスタの中でもやはり明太子がいちばんしっくりくる。

17時ぐらいから宴会スタートw 酒の量はきわめて微量だったのだが、かなり盛り上がって楽しく話をさせていただいた。内容は山関係以外の話が多かったw 詳しくは割愛www 19時頃に雨がぱらついてきたので、そこでお開きとなった。

みなさんに最後のあいさつをして、トイレを済ませてテントに戻る。発電機もしばらくすると止まった。20時就寝。


夜中に途中で目が覚めてトイレに起きると、すっかり晴れ上がってきれいな星空が出ていた。一度起きてしまうとなかなか眠れないので、MP3でしばらく音楽を聴いた。1時間ほどで再び眠りに落ちた。