唐松五竜縦走 5/5・2日目(唐松山荘→五竜山荘→五竜岳往復→遠見尾根)
唐松岳頂上山荘5:15→大黒岳手前の鞍部6:50/7:05→五竜山荘8:20/8:35→五竜岳10:10/10:30→五竜山荘11:15/11:35→西遠見山12:15?→小遠見山13:45/14:10→地蔵の頭14:45→アルプス平15:00
起きてみると、星が少し出ていた。風もほとんど止んでおり、天候はまずまずのようだ。とても暖かく、気温は明らかにプラスだ。あれほど頑張って積んでおいた雪ブロックもすっかりやせ細っていた。
朝の締まった空気の中、出発準備をする。夜が明けてみると、昨日は見えなかった剱岳までしっかり遠望できた。五竜岳山頂まで天気が持つことを祈ろう。
5時出発のところが15分遅れてしまったが、アイゼン・ピッケルフル装備で、いよいよ縦走路へと出発する。
黎明の剱岳。もやの中にぼわーんと浮き上がっています。
この縦走路は、出だしのところが長い鎖場になっている。区間の雪はほぼ完全に消えており、アイゼンがギシギシ引っかかって歩きにくいことこの上ない。ひとまず縦走路が見渡せるところまで行って、やはりしばらく雪なしであることを確認してから、一旦アイゼンを外す。
鎖場を下りきると、再び残雪が現れる。氷化しているところもあり、再びアイゼンを装着。2mほどだが、氷っぽい壁をアイゼンの蹴りこみで乗り切る場所もあった。その先も岩場が思いのほか長く続くので注意されたい。(カーター氏は初ピッケルでこういう場所に出くわしたため、やや苦戦していた。スイマセン、コース選択ミスったかも^^;)
この先はしばらくアイゼンをつけて歩く。相変わらず残雪が少なく、岩にアイゼンは気持ち悪いが、ところどころ堅雪が出てくるので仕方あるまい。特に難しいところは無いが、アイゼンの引っ掛けには要注意。(自分はこの区間だけで2回やって、そのうち1回はつまづいて膝をついてしまった。アイゼン引っ掛けをやらかすは初めてで、まことにもって不覚の致すところ・・・)
この区間は下りにもかかわらず、意外と体力を消耗した。やれやれw
剱立山方面。もやってますなぁ〜 ザンネン。
五竜岳1
五竜岳2
大黒岳手前の鞍部が近くに見えてくれば、あとは砂っぽい夏道と快適な雪道のミックスルートになってくる。鞍部にてちょっと長めの休憩を取る。(テントの中にサングラスを忘れたまま撤収したため、再度引っ張り出してサングラスを救出するなどの作業をしたw サングラスは無事でした。)
最低鞍部にて。(この最低鞍部は、大黒岳を挟んで北側の方です。南側の鞍部は「最低」ではありませんw)
大黒岳からは、これまでとはうって変わって、積雪量が豊富になる。(おそらく北面に回るため) 雪の斜面を登って、潅木帯で軽くシリセードして、雪庇を避けながら樹林帯沿いを歩いたり、雷鳥さんに出会ったりと、カーター氏曰く「ヤマケイに載ってそう」な雪山登山な風景が展開される。
さらにしばらく登っていくと、夏道に沿ってのトラバース帯に入るのだが、ここで再び雪が消えた。そのため、カーター氏の提案もあってアイゼンを外す。う〜ん、歩きやすい♪
雪もある場所はたくさんあるものの、柔らかい雪なのでつぼ足で問題ない。氷化していたらちょっと面倒そうなトラバースも難なく通過し、五竜岳を間近に望むビューポイントに到達。あとは、夏道沿いに中途半端に雪の残った場所(毎歩10cmぐらいずつ沈む)を歩いていけば、まもなく五竜山荘だ。
思わずコレ↓を思い浮かべてしまった俺様は生粋のネット廃人wwwwww
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白岳までやってきて、初めて遠見尾根が見える。八方尾根とちがって、尾根らしい姿をした尾根である。
五竜山荘で休憩を取り、ザックの雨蓋を取り外してサブザック代わりとして、出発する。
五竜岳への道はとても雪が多い。最初のところでわずかに夏道が出ている以外は、ほとんどが雪道。太陽も高くなってきており、雪はグサグサに緩んでいる。体力的にはしんどいが、滑落の心配が無いのでその点では楽といえば楽だったりする。(ただし、完全なグサ雪ではなく、20cmほど下にはザラメ状の弱層のようなものがあり、トレースから外れるとズルズル滑ってしまう状況だった)
一箇所、北側の切れ落ちた岩稜を行く場所もあるが、それ以外は特に問題となるところは無い。(ロープ装備で行動している人も、1パーティーだけいた) ・・・が、とにかく暑い!!! 汗がダラダラと噴き出してくる。今日に関しては、技術より体力より根性!であるw
五竜岳への登り。一部トラバースがあります。朝方の雪が締まった時間帯は滑落に注意ですね。
そして剱岳。
最後の雪壁は駆け上がって登るも、登りきったところからまだ少しだけ雪稜をたどらなければならず、結局最後は歩きにw
亀裂の入った雪庇を横目に見つつ、息を切らしながら五竜岳山頂に到着。
カーター氏と握手を交わし、登頂を祝う。
春霞で遠くの山は見ることはできないが、見渡す限りの北アルプスの大展望だ。何よりも鹿島槍がカッコイイ!
写真を撮ったり、ムービーを撮ったり、Twitterでつぶやりたりして、穏やかな春の山頂を満喫する。
鹿島槍の雄姿。
標柱&剱岳
20分ほど山頂に滞在した後、下山を始める。雪が多いため、シリセードを活用しながら順調に下っていく。もっとも、横移動をしながら下っていく形になるため、意外にシリセードのできる区間は短かったりするのだが・・・
ということで、往路を無事に戻ってきた二人。11時15分だった。これなら下りのゴンドラにも十分間に合う。そしてお風呂にも入れる!(・・・はずだった) さぁ下山だ下山。
トレースは、白岳を巻く形でついていた。一応ここは雪崩地帯と言われているのだが、小屋の方は「ここ数年は起こったことが無いし、大丈夫! でも気をつけてね。」とおっしゃっていたw
ということで、トレースに沿って下山する。が、とてつもなく暑い&熱い。雪は緩んでいるというレベルではなく、新雪並みに沈むくせに、水のように重いという最悪な状態。下山にもかかわらずとんでもない量の汗をかいてしまう。途中で、トレースの無いところの方が多少楽に歩けることに気づくが、それでもこの雪質は大変だ。ひたすら歩く。
西遠見山の手前にやってくると、そこは痩せ尾根になっていて、この時期には巨大な雪庇が張り出している。その雪庇には春らしい大きな亀裂が入っていて、なんとその亀裂の崖側にトレースがついていた。まぁおそらく99.9%崩落することは無いが、あの巨大なブロックと一緒に谷に落ちれば間違いなく命は無い。加えて、歩きやすさから言っても、この雪庇エリアは巻いてしまった方が楽そうだった。
てことで、ちょっと邪道かもしれないが、100mほどの区間を、トレースから外れて雪の斜面を横切っていった。まぁコレはコレで底雪崩を誘発する危険性もあったのだが、どうやったって雪山は雪山なんだから、仕方あるまい(投げやりww)
問題の痩せ尾根と雪庇。一つ目の雪庇は巻き、二つ目は普通にトレースに沿って通過。
鹿島槍。
五竜岳。お馴染みの武田菱が見えるようになってきました。
ほどなくして、正規のトレースに復帰する。痩せ尾根を過ぎれば、あとは軽いアップダウンを伴うゆるやかな尾根歩きになる。樹木の無い荒涼とした八方尾根に比べて、遠見尾根はいろいろな種類の樹木があって飽きることがない。紅葉のときとかはさぞかしキレイだろう。
しっかし、本当に暑い。下っているときはいいが、中遠見山と小遠見山への登りは、短いながらも大変こたえたw
ということで、小遠見山で大休憩とする。小ピークになっているため、後立山の山並みがとてもよく見える。ここで行動食の残りを大方食べきってしまう。そして、カーター氏が運んできてくれた水のおいしかったこと!!!
小遠見山から。遠見尾根がうまい具合に山岳美を作り出しています。
さぁ、いよいよ最後の1ピッチだ。尾根の上を滑るように下っていく。
そして最後はシリセードで300mほど一気に滑ってゲレンデのすぐ手前までひとっとび。白い筋がシリセードの跡ですw
せっかくなので、地蔵の頭に寄ってから、スキー場へ出る。(最後の最後で、藪漕ぎが出てきたり、雪壁下りが出てきたりで、気が抜けない一幕もあったw)
あとはスキー場を下る。ゲレンデ族たちの奇異の視線を受けながら下る。自分ももしスキー中だったら代注目するだろうなとかいろいろ考えながら下る。ゲレンデ独特のハイテンションな音楽を聴きながら下る。
ということで、ALPS360にゴーーーール!(あぁ、ここもまたおなじみの場所だぜwww)
荷物の整理をして、ゴンドラに乗り込む。下界に降りるとすっかり雪なしだ。そして、エスカルプラザのお風呂に入ろうとリフトチケット売り場の人に聞いてみたところ・・・
「あ〜、もう閉まっちゃったんですよぉ・・・」
あちゃ〜・・・ ぢゃあ近隣の温泉とかは?
「あ、飯森の方にありますよ。クーポン渡しておきますね。」
と言われて渡されたクーポンには地図があり、飯森ではなく、これから向かう神城駅近くに温泉があるのを発見。
でもって、我々は30分ほどかけてぽくぽくと神城駅に向かい、地図が指し示すはずの場所に向かったのだが・・・・・・なんと!!!
ない。ないのだ。温泉が。まさかと思い、道の駅にいた地元の人に聞いてみると・・・
「あぁ〜、あそこなら休業中だよ〜 お気の毒さまですぅ。。。」
うおぉぉぉぉぉぉぉ! まぢかい!!!www クーポンの地図消しとけよwwwwww
飯森の温泉に向かおうにも、電車の時間が迫っている。この時点で温泉はお流れになった。ザンネン・・・ まぁ自分は今日中に帰ってお風呂に入れるし、カーター氏は宿のお風呂に入れるるわけだし、諦めもつかないことはない。(本当は一緒に白馬山麓でのんびりテント泊したかったのだが、翌日のゼミに出るためには、特急に乗って今日中に帰宅しなければならなかった。ゼミは適当で良いのだが、「有給休暇」を少しでも残すためには仕方あるまい。)
せめてもの救いということで、道の駅の洗面所をお借りして、着替えをしたり、顔を洗ったりしてスッキリする。あとはおみやげと自分用の地酒をゲットしておく。
あとは白馬駅から快速「はくば」に乗り込む。(週末など限定の臨時列車。停車駅が少ないため普通よりもだいぶ所要時間が短い。乗車券だけで乗れる。)
写真を見たり、Twitterをやったり、ポカーンとしたりしているうちに、松本駅に着いた。
ここでカーター氏とはお別れだ。
改札前で今一度堅い握手を交わし、この3日間の山行をねぎらった。
そして、一人は改札の外へ、もう一人は中央線のホームへと向かっていったのであった。