鈴鹿山系第2回(雨乞岳・テント泊・6/13-14)

6/13(金):林道入口(登山届ポスト)15:05⇒杉峠17:30/17:35⇒御池鉱山跡17:55
6/14(土):御池鉱山跡6:40⇒杉峠7:00/7:10⇒雨乞岳7:55⇒東雨乞岳8:10/9:15⇒雨乞岳⇒杉峠10:10/10:15⇒林道入口12:45


今回の山行はいくつか普通な&特殊な目的がありまして、

  • 霊仙以来、2回目の鈴鹿(雨乞岳に行きたい!)
  • 初めてバイクで直接登山口へアプローチする
  • ゆったりテント泊(できればテント場に自分だけ)
  • ゆるゆるの行程
  • 最重要:夜はランタンの明かりで焼肉!

といったところ。

金曜日の授業が終わった後、例によって速攻で大学を出る。地形図をまだ入手できていなかったので、ひとつ隣の駅の近くの本屋(地形図取扱店)で「御在所山」と「日野東部」の2.5万図を買う。で、駅に戻る道中でちょうど王将を発見したので、そこで急ぎ目に昼食を取って、電車に乗りなおして自宅へ帰る。


忘れ物チェックを済ませて、原付でいざ出発。ばばばばば・・・・・・

前々から欲しかったガスランタン(プリムス2245)をついにゲットした上、テント場でひとりだとさすがに寂しいからと100均のスピーカーとか、同じく100均のフライパンとか(肉を焼くときに焦げ付くので使い捨て用)、夜の楽しみのための日本酒(安酒だが、菊正宗の上撰)とか、更には途中で生肉を買ったりして余計なものが盛りだくさんだったが、ザック重量は水抜きで17kgと意外に軽い。水を満載しても19kgである。

とはいえ、バイクの加速は目に見えて悪くなっている。40キロを維持するのに、普段50キロを出すぐらいスロットルを回す必要がある。それでも、「50ccでよくここまでやるな」と感じさせる頑張りである。実用上問題はなし。

登山口は、永源寺の奥にある甲津畑なので、大部分は11月に紅葉を見に行ったときと同じ道を行く。途中、蒲生の平和堂(スーパー)で生肉と食パンを買っていく。ドライアイスと一緒に、ザック内に荷崩れしないよう気をつけて入れて、再度出発。

近江平野の外縁部に近づき、鈴鹿の山並みが迫ってくると車もめっきり少なくなる。甲津畑の集落を過ぎると、いよいよ林道に入り、急坂となる。カーブでは積極的にクラクションを鳴らしながら、坂道をフルスロットルで登っていく。(結局一度も対向車はなし)

そして、登山口の前に到着。途中スーパーにも寄ったので、自宅からは2時間ほどかかってしまった。

林道の本線から分岐した林道(千種街道)が登山道という扱いなので、道幅はバイクは楽に通れるぐらいなのだが、路面状況が悪そうだったのでここにバイクを置いて歩くことにする。(そもそも街用のバイクだし、バランスを崩してバイクと一緒に谷に落ちるとかマジ嫌だからw)

登山口を出発したのが15時過ぎ。テント予定地まではコースタイムで約3時間・・・ そう、テント泊山行としては本来「御法度」に当たる行程である。

しかしながら、

  • 日が最も長い時期の快晴日⇒19時まで十分明るい
  • 千種街道は道が明瞭⇒もし遅くなったらヘッドライト行動、あるいは行動打ち切りで適所でテント
  • そもそも行動時間自体は短い

という理由から十分安全と判断し、この行程で登った。もし曇りとかだったら中止してた可能性が高いかな。天気って重要です。


今日歩く登山道は、鉱山跡などの歴史が残る千種街道である。鉱山跡には石段などが残っているだけだが、それでも往年の生活の息吹を十分感じ取ることができる。他にも人工物が多く、見所は多い。

道自体は歩きやすすぎるぐらいで平凡である。普段なら若干不満に感じるところかもしれないが、今日みたいな行程だとこういう楽な道はとてもありがたい。途中で出会ったのは単独の方一人のみ。鈴鹿の面白い話をいろいろと聞くことができた。

途中立ち休憩は何度か取ったものの、昼は王将だったし、今夜は焼肉なので、行動食は自重して水のみ。結局、杉峠まで一度もザックをおろさずに登りきる。

で、杉峠に着いたときもまだしっかりと明るい青空。

ここから、御池鉱山跡まで下る。途中、20mほど前を一匹のシカが「キッキッ」と高い鳴き声を上げながら猛スピードで谷へ駆け降りていった。ビックリしてしばらく心臓が高鳴ったが、シカはもっと驚いていたはず。ここでは「よそ者」あるいは「侵入者」なのは人間だ。邪魔してごめんよ。

シカはともかく、クマなどが潜んでいると怖いので、時折、「通りま〜す!」「失礼しま〜す!」と大きな声を上げたり、手を叩いて音を出したりして、こちらの存在を知らせながら下っていく。

しばらくして水の音が聞こえてくると、そこが御池鉱山跡である。テント10張ぐらいはいけそうな広いスペースである。

で、テント場には予想通り誰もおらずw やったぜ。

いつものようにテントを張って、暗くなる前に水汲み。酔っ払ってもすぐに眠れるようにマットやシュラフを準備した上で、外で適当な岩を見つけて座り、焼肉の準備。これが今回のメインと言っても過言ではない。


ダメな登山者のザックの中身 その1



ダメな登山者のザックの中身 その2



ダメな登山者のザックの中身 全景



じゅ〜〜っ


日本酒をちびちび飲みながら、豚トロとこてっちゃんを焼いて食べる。ドライアイスで冷やしていたとはいえ常温の中を4時間ほど運んできたので、こげる手前ぐらいまで念入りに過熱する。でんぷん食品は米ではなくパン。

で、持参した小型スピーカーで音楽を流す。本当はJazzやClassicあたりがよかったのだが、事前にMP3プレーヤーに入れる時間がなかったので、ありあわせの中から静かな夜に合いそうな曲をセレクト。結果、某銀河鉄道のBGMと某鬼束ちひろを流すことに。なかなか悪くない。(余談だが、鬼束ちひろはアルプスの稜線の夜には最高にマッチする。鈴鹿みたいな低山の谷筋だとさすがに雰囲気は合いづらいが、個人的にはやはり好きである)

暗くなってきたらランタン点灯。この雰囲気はたまらない。


ダメな酔っ払い登山者の一人宴会の全景


適度に酔っ払ったところで、ゴミを始末して、キジ撃ちをして就寝。

(余談。油物の処理はかなり厄介だった。山の中で散々贅沢させてもらっておきながら沢に廃水を流すのだけはしたくなかったので、コンロで過熱して水を飛ばしてゼリー状にし、スプーンですくい取れる分は肉の空きパックに移し替えてゴミ袋へ。取れなかった分はロールペーパーで拭き、それでも残った分は自宅で洗うことに。これで廃棄物ゼロである。)

夜中、森の中から再びシカの声が聞こえて目が覚めた。テントの前室に置いてあるフライパンには、焼肉のにおいがしっかりとついており、それに釣られて寄ってこられると困るので、寝転んだまま手を叩いて音を出し、「ここに人間いるから、近づいてこないでね〜」とシカさんにお願いした。彼らも人間と会いたくないのが本心なわけで、すぐに気配は遠ざかっていった。(本当に危ないのは人間の食べ物の味を知っていて警戒心の薄い里のシカ・クマらしい。山の野生生物は向こうから人間を避けるといわれている。だって、動物にとって人間ほど危険な生物っていないもん。いきなり銃で撃ったりするでしょ?)

そうこうしていると気持ちが少しハイになってしまったが、アルコール抜きついでに一回キジ撃ちに行くとスッキリと落ち着いて眠りに戻ることができた。


アラームはどんなに遅くとも6時に起きるつもりでセットしていたが、実際には5時に目が覚めた。外はすでに明るい。

少しだけ移動すると見晴らしの良い場所があるので、そこまで移動して朝日を見る。


すぐ右手の崩壊地(鉱山跡?)は若干不吉なイメージを持つが、展望自体は谷筋の割にはなかなか良い。


朝食は東雨乞岳の山頂で展望を楽しみながら取ることにして、6:40に出発する。今日は、杉峠まで登り返し、そこから雨乞岳へ登り、そのままバイクのところまで下山する行程である。

ちょうど杉峠に着いたところで運気が上昇したため、少し奥の方に移動して穴を掘っ(ry


杉峠からはしばらく樹林帯の登りを行くが、雨乞岳まで半分ぐらいのところで展望が大きく開ける。滋賀県側を見晴らせる場所もあり、なかなかの好展望コースである。



前方に、東雨乞岳〜雨乞岳の稜線が見えてくる



北東方向を見る。いわゆる「一列山脈」の比良と違って、山並みに奥行きがある。



滋賀県方面を見る。こちらも山並みが深い。朝もやのためか下界はほとんど見えない。


しばらく行くと、笹が背丈を越えるようになり、しばらく展望が利かなくなる。登りの時間はそれほど長くないのですぐに雨乞岳山頂に到着できる。



雨乞岳。標高約124mだそうです。(嘘)


ここは展望が良くないので、展望の良さで定評の東雨乞岳へ移動する。見晴らしの良い稜線を15分ほど歩いて到着する。頂上は広場になっていて、360度展望が利く。

ここでやっと「サッポロ一番・みそラーメン」にありつく。山の上で食べるラーメンはなぜこれほどおいしいのだろうか? 他にも黒砂糖や乾燥ツナなどを食べながら景色を堪能する。山頂にはまだ自分以外に誰もいない。



手前がイブネ・クラシ・銚子ヶ口の稜線。右手に鈴鹿北部の山々を遠望。



上方向へカメラを向ける。朝は曇りでガスも出ていたが、良い感じで晴れてきた。



鎌ヶ岳。右側に鎌尾根を従える、鈴鹿随一の鋭鋒である。槍ヶ岳と北鎌尾根にそっくりだ。今度行ってみたい。


「比良が北ア、鈴鹿が南アに似ている」という話をどこかで聞いたことがあるが、確かにそうだと感じた。比良のアプローチの良さに対して、鈴鹿の山深さ。鎌ヶ岳・御在所岳から霊仙山へ続く主稜の連なりはもちろんだが、自分としては、滋賀県側のゆったりと続く山稜と渓谷の雰囲気が特に気に入った。(神崎川方面の渓谷と、イブネ、クラシ、銚子ヶ口方面は一度縦走してみたい。ぜひとも紅葉シーズンに。)

しばらくすると、鞍掛峠からの登山者が上がってくる。単独と2人組。

展望を十分楽しんだところで、下山とする。(当初予定していたイブネ・クラシは見送ることに)



雨乞岳への道

登ってきたときと同じ構図の写真を2枚。時間が少し違うだけで景色は結構変わるものです。


北東方向。この山深さが美しい。



こちらは滋賀県側。スッキリと晴れて緑が映える。


杉峠へ向かう途中で先ほど会った方とは別の単独の方に追い抜かれる。その方、歩くのが妙に早い。荷物と靴が軽いおかげだよな〜 ま、テントな人はゆったりのんびりでいいのさw


帰りは、杉峠経由でそのままバイクを置いた場所へ下山した。

結局この2日間で出会った人数は5人。焼肉も堪能でき、のんびりと静かな山に浸れた良い山行であった。また行くぞ、滋賀の南ア・鈴鹿