蝶〜槍縦走 9/12・5日目(槍沢より上高地へ下山)

天気:雨 のち 晴れ

槍ヶ岳山荘6:50⇒横尾11:30/12:00⇒上高地14:15

朝になっても雨は降り続いていた。温泉の時間の都合上、遅くとも7時までには山荘を出発したかったが、雨で準備がもたつくと思われたので、やや余裕を取って4時半起床とした。

小雨の隙を突いてトイレを済ませる。朝食はしょうゆ味のラーメン。

さすがの雨でテントはやや浸水していた。マットの裏には水がたっぷりしみこんでいたが、表は無事だった。シュラフカバーでシュラフにも被害なし。ひとまずテント内とマットの裏をボロ布でぬぐい、濡れ物はビニール袋に入れて、全てザックの中へ突っ込む。

さあ、最後の大問題・テントの撤収だ。

可能な限りすばやく撤収するが、どうしても濡れる。上高地に下りる頃には晴れるという予報(=温泉に行く間にテントを乾かせること)を信じて、とにかくテントをスタッフバッグに詰め込んだ。それを外でザックに突っ込むとザックまで雨に濡れてしまうので、山荘の中で水を拭きながら落ち着いて入れさせてもらうことにした。

名物の焼きたてパンをひとつ買い、雨の中下山開始。

少し下ったところからガスの中に浮かぶ槍ヶ岳を振り返った。「さらば、槍。」と心の中でつぶやき、再び歩き出す。

あとはひたすら槍沢を下る、下る、下る。全体的になだらかで歩きやすい道なので、急な下りの苦手な自分にはありがたい。徐々に沢水の音が大きくなる。稜線では聞けなかった水の音だ。懐かしい。

ババ平を通過する頃には雨はすっかり上がり、晴れ間が広がり始めていた。横尾手前の槍沢の流れ・緑・日光の組み合わせが素晴らしい。

予想外にもコースタイムをやや上回って横尾に到着。空模様はすっかり昨日のようなおだやかな晴れ空に戻っていた。テント場まであと2時間半の道のりだ。頭の中で「温泉、温泉」と唱えながらひたすら歩く。さすがにこの長い林道歩きは面倒だw


木漏れ日のトレイルを行く。夢の中のようだ。

そして徳沢。ここでルートがひとつの輪になってつながった。あと1時間半。

そしてとうとう戻ってきた、小梨平キャンプ場。さすがに初日よりはテントの数は多いが、それでも広い敷地にせいぜい15張程度。せっかくなら周りに他のテントの無い静かなサイトが良かったので、しばらくキャンプ場内を探し回った。そして、森の中の小川のほとりに特等席を発見。

(ちなみに、時間的には今日中に温泉に入って帰ることも十分できたが、せっかくの上高地を通過するだけで済ませるのはもったいないので、もう一泊してのんびるすることにしていた。)

ひとまずテントを内張りのみで設営して水を一通りふき取り、濡れ物やフライシートを木や石の上に干した。そして楽な格好(というか観光地に一通り溶け込める格好)に着替え、風呂セットを持って温泉へ。上高地温泉ホテルまでは徒歩20分。ちょっと長いが、いい感じの散策になる。天気はとても良いが、オフシーズンの平日とあって上高地もやはり人の姿はまばらだ。

河童橋を渡り、梓川沿いに歩く。

梓川の水はどこまでも透き通っていて、川底がすっきり見通せる。かわいらしい水鳥の姿を途中で見かけた。森の雰囲気もまた素晴らしい。


上高地温泉ホテル

温泉は外来で600円。こちらもまたガラガラだった。頭も体も2回ずつ洗って1週間分の汚れをしっかり落とす。ゴシゴシ。ゴシゴシ。

(余談。夏場の下界で3日間も風呂に入らずにいるのはぞっとする話だが、山の上は空気が乾いていて気温が低いため、汗をかいてもすぐに乾くので、体にさほど匂いはつかない。だから1週間でもその点は大丈夫だった。もちろん個人差はあるが。あと、足はかならず毎日風にさらしましょう。これだけで足による「公害」はだいぶ減る。)

そして、露天風呂にじっくり浸かる、至福のひととき・・・「ふぁ〜〜〜あったかい・・・・・・」


そして風呂あがりにアイス。これまた至福。蒸し暑い下界と違って、入浴後に当たる外の空気もさっぱり乾いていて気持ち良い。

帰りは別の散策路をゆっくりと歩いて帰る。こちらは梓川越しに見る穂高が美しい。人が少なく、相変わらず静かな散策路。平和だ。

途中でおみやげ屋に寄って、いろいろと物色をした。おみやげは明日の朝に買ったほうが楽なので、今日はひとまず祝杯用のお菓子と化学物質入り飲料水だけを買って、テントまで戻った。


テントに戻ると、内張りもフライシートもすっかり乾いていた。これで今夜は快適に過ごせそうだ。干していたものも、日が落ちる前にテントに取り込んだ。

最後の晩ご飯は、パスタ+レトルトのカルボナーラソース。

その後は、さっき買ってきたお菓子などを広げ、ゆったりとくつろぐ。「安全な場所に戻ってきた」という安心感と満足感がたまらない。最高だ。

ただ、疲れのせいか、しばらく飲み食いしていると、あっという間に化学物質が効いてきてしまった。静かな祝杯を終えて歯磨きやトイレなどを済ませると、寝袋の中であっという間に眠りに落ちてしまった。