『日本共産党』
- 作者: 筆坂秀世
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/15
- メディア: 新書
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筆者は共産党の元ナンバー4の地位を担っていた、筆坂秀世氏です。筆者は数年前のある不祥事をきっかけに離党しているため、この本は共産党の批判を主な目的として書かれています。ただ、外部の人間が書いた本とは違い、筆者自身が党の中心部を担っていただけあって内容の信憑性は抜群です。インサイダーが共産党を批判する本を書いたのは最近では珍しいとのことで、世間でもだいぶ話題になったようです。(自分はと言うと、その話題がすっかり去ってから読むことになったのですが。)
毎度のことながら、内容の解説はしません。興味がある人は読んでみてください。
読んだ人それぞれさまざまな解釈があると思いますが、自分が筆者のポイントとして一番強く感じたことは「共産党内部の抱える自己矛盾が支持を集められずにいる」ということでした。
というのも、確かに共産党は一般市民の側に立った素晴らしい政策理念や理想を持っています。しかも、戦時中に戦争に反対した唯一の政党でもあります。これらのことそのものは非常に素晴らしいことです(だから自分も有権者でないながらも強く支持するのです)
ところが、選挙後などに行われるべき客観的な分析が無視され、常に威勢の良い総括ばかりが行われていることや、末端で働く党員に無理を押し付ける、赤旗の部数と党員数が全てという考えに固執している、などの体質のために、せっかくの前向きな持ち味を無にしているのです。極めつけは、党内での民主主義が全くなく、ベースをなす党員の意見が反映されていないことです(そのせいで党員の活力が失われ、活動率は数割にとどまっているといいます) それゆえ、一部の支持者からの票は得られても、国民の幅広い支持を集められずにいるのです。
そういった内部矛盾を克服すれば、議席の大幅増、もしかすると政権の中心に座ることだって不可能ではないと思うのですが、今の共産党を見ている限り、残念ながら、そういったことは期待できそうにありません。