唐松五竜縦走 5/4・1日目(八方尾根→唐松山荘→唐松岳往復)

八方池山荘8:15→八方池9:05/9:15→下ノ樺9:25(滑落停止訓練)10:10→丸山10:55/11:05→唐松岳頂上山荘11:45/12:20→唐松岳12:35/12:45→唐松岳頂上山荘13:00

駐車場は意外と静かで安眠できた。次第に明るくなってきて目が覚めた。春のおだやかな朝だった。

朝食のパンを食べ、出発準備にとりかかる。

テントを撤収しているときに、駐車場のおじちゃんが場内を回っていて、話しかけてくれたのだが、自分たちから料金を取る様子はなかった。たしかにデッドスペースみたいな場所だったけど、普通に500円払うつもりだったのにw まぁラッキーということでw

撤収が終わりましたら、水の調達などを済ませて、登山届を提出し、ゴンドラ乗り場へ。ちょうどはかりがあったので、計ってみると水込みで(確か)20kgちょっとだった。雪山装備やカメラを考えれば、十分軽い部類ですねw

ゴンドラ乗り場には営業開始前から列ができ始めたが、みるみるうちに乗客が吸い込まれていった。これまたお馴染みのゴンドラとリフトに揺られ、一気に標高を稼ぐ。とはいえ、今日ばかりは登山者というマイノリティとして圧倒的なゲレンデ族たちのなかで浮きまくりだw



ゴンドラ運行開始前の行列。さながらハイシーズン。



ゴンドラを降りたところ。お馴染みの風景。さすがにゲレンデの雪は2週間前よりは減ったようです。ここからリフトを2本乗り継ぎます。



30分ほどであっという間に八方池山荘(約1800m)に到着。(南アルプスとの違いはまさにこの点にありますなw)



ピッケルを出したり、スパッツをつけたりして、出発準備をする。夏道がある程度出ているようだったので、アイゼンはひとまずつけないことにした。

かくして、自分にとって、本格的な登山としては初めてのパーティー登山が幕を開けたのである。

八方尾根は、その名前にふさわしいだだっ広い尾根だ。傾斜も緩く、南アルプスによくある樹林帯の急登とは対照的な性格を見せる。風は穏やかでまさに「春山」の雰囲気だ。

晴れ予報だったが、稜線にはガスがかかっていた。できれば今日中に五竜山荘まで進みたかったのだが、稜線の状況が悪ければどうなるか分からないだろう。



広大な八方尾根



その向こうには不帰キレット



広い・・・ ガスったら危なそう。



八方池はまだ雪の下。



下の樺付近 まともな樹林があるのはここぐらい。


途中、下の樺の少し上で滑落停止と初期制動の練習をすることに。


滑落停止訓練をやった斜面。

・・・が、雪が柔らかすぎて全然滑らない。頑張って滑ったところで、ピッケルを刺すより、手足で雪を突っ張った方が断然止まるコンディション。

てことで、思い切ってこういう落ち方をやったのだが・・・

http://www.youtube.com/watch?v=i3nXvSkYmIc

「ちょっと地味やなw」って突っ込まれちゃってるカワイソウな滑落者ですwww

そもそも、どう見ても自然に止まっただけですw 何回かピッケルを刺しに行ってますが、春のグサ雪を前に無力ですw 締まった雪なら何とか止まるかも知れませんが、アイスバーンだったら間違いなく死亡事故級です。

「一旦落ちれば止まるかどうかは雪質と運次第。滑落は絶対にしてはいけない!」というのは、本当に大事な格言だと思います。

あとは、転んだ瞬間にピッケルで刺して滑る前に止める「初期制動」を練習。こっちの方が重要ですね。



とりあえず、この雪質で滑落事故はアリエナイということもあって、1時間弱練習したところで出発とする。ここからはアイゼンをつけて歩く。崩れやすいグサ雪なので大差はないが、あったほうがまだ歩きやすい。

この頃から、徐々に晴れ間が雲に埋められるようになり、やがて完全な曇り空になってしまった。視界はクリアーで、これから歩く稜線が見通せる。相変わらず一面の雪の稜線が続くばかりだったが・・・



五竜岳。ガスっぽい感じです。



キレットがさらに接近してきます。


とはいえ、丸山を過ぎると徐々に稜線もシャープになり、雪庇を避けながら歩く場面も出てくる。
左手には五竜岳への縦走路、右手にはキレット唐松岳がぐんぐん近づいてきて、アルプスらしいムードが高まってくる。



徐々に雪稜らしくなってきます。



右手には唐松岳が見え始めます。仰角の関係で稜線末端より低く見えます。



そして、若干へばりながらも、無事稜線(=唐松山荘)へ到達。見えるのは唐松岳です。さっきの写真とは反対側を見ています。

五竜山荘まで足を延ばせるか微妙だったが、ひとまず、唐松ピストン後に考えることにして、荷物をデポして唐松岳へと出かける。



唐松岳への登りから、山荘を振り返る。写っているのはカーター氏w

さすがに稜線とあって、夏道と雪道が交互に出てくる登山道となる。顕著な雪庇も多いが、トレースがうまい具合についているので問題はない。あっという間に唐松岳頂上に到着だ。



山頂到着。見えねぇww

カーター氏と「よっしゃぁ!」のあいさつ?を交わし、登頂を祝う。これから目指す五竜岳をはじめ、他の北アルプスの山々は霧の中。白馬山麓キレットは霞みながらも見ることができた。


写真撮影などを済ませて、唐松山荘へと下ってきたところで、さてさて、この後の行程についてカーター氏との話し合いタイム!

このとき、時刻は13時だった。雪上訓練をやった割にはいいペースで来れているが、五竜山荘には16時がいいところだ。日が長くなったとはいえ、これはかなりリスキーだ。夏山と違って、到着後には整地やブロック積みもやらなければならない。風もそれなりに強かったし、この先には鎖場もある。テントは背負っているから泊りには困らないが、水作りは面倒だし、何より不味いw 

かくして、「まぁ今日のところはここで幕営して、明日は天気を見て、縦走続行か八方尾根下山かの選択だ」という安全策に落ち着いたのであったw


テントの受付を済ませて、いそいそとテント場へ。GW後半とあっていくつか跡地があったので、そのうちのひとつをピックアップして再利用することに。

カーター氏はスコップを持っていなかったので、ピッケルで堅雪をほぐす係に回ってもらい、ザックザック掘って整地と壁作りにいそしむ。1時間ほど頑張った末、無事に2張のテントを設営できた。(1人1張という贅沢な構成であるw)


雪ブロック積みはスコップを持っている自分の専売特許w テント設営後も事あるごとに周囲を歩き回っては土木工事にいそしんだのであったw

そんな自分に、カーター氏がチョコレートマフィンというごほうびを振舞ってくれた。正直めっちゃおいしかったっす。っていうか、山で食べるレベルじゃねぇw ありがとう!

そして、小屋のおじちゃんがめちゃめちゃ親切で、あったかいお茶をはじめ、オレンジやビールに至るまで、いろいろなものを差し入れしてくださいましたw 感謝感激です。



チョコレートマフィンの製作現場w



向かい合わせに張られたテント。土間付きの本格基地ですw


テント内でくつろいでいるうちに、晴れて太陽が差してきた。あいにく霞んでいて視界はクリアーではないが、五竜岳も見えるようになってきた。

うとうとと夕寝をしたり、軽くお散歩をしたりと、春らしい過ごし方をする。テント内でも緊張を緩められない冬山と違って、心にゆとりを持って山を楽しめるというのが、本当に素晴らしい。


太陽のご登場!



ちょっとお散歩。



春の陽光に照らされて。



夕食には、ついに夏メニューのパスタが復活した。鍋や生肉が姿を消す時期になってしまうのは悲しいが・・・

夕食後は持ってきたお酒で祝杯を上げる。堅揚げポテトは山の上では貴重ですよねw


いい感じに暗くなってきたところで就寝。明日は晴れるといいな。