更なる延期

またもや延期です。

気張って4時50分に起きたものの、5時更新の天気予報をチェックすると、明日の富山県「雨 所により昼前まで雷を伴い非常に激しく降る」(気象庁) WNIも降水確率100%ときたw

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「くもり一時雨」や「くもり時々雨」ならまだ許容範囲内である。もっとも、「くもり時々雨」レベルの涸沢山行初日だって穂高界隈は土砂降りだったが。

ましてや、「所により=山岳地」であり、午前中にかなりの雨に降られることはほぼ間違いなく、初日から停滞必至である。これでは今日室堂入りしても意味が無い。


去年9月の苦い経験から、予報を見ながらいつでも出発できるように、夏休みを全日程空けて「登山最優先」の体制を組んだ。普通は前後に何かしら予定が入っていて延期したくてもできないのが普通なんだから、こういうのが贅沢な悩みだということは自覚している。でも逆に言えば今の自分には山しかないってことなんだ。


山が優先だから、お金がもったいないから、人付き合いが面倒だから、ESSを辞めた。わずか数時間分のバイトのために100時間分以上の山行を犠牲にしたくなくて、特に夏講による拘束が鬱で、塾講バイトも辞めた。バイトを辞める後ろ盾として給付奨学金を当て込んでおり、そのためにひたすら奔走し、後期は鬱になりかけ不整脈が出まくった。徐々に興味も薄れていた上に、信頼していた先輩に裏切られ、スキーへの熱もすっかり冷めた。友人から旅行の誘いもあったが、迷った末に辞退させてもらった。

本当に山が大好きで、天気の良いときを選んでのびのびと山行がしたくて、そんな夏休みにするために去年準備をしてきた。問題の3割はお金、6割は時間だった。時間のほとんどは結局お金の問題に還元される。お金がなければバイトをせざるを得なくなって暇は作れないんだ。したがって、山に行けるか否かは結局8割がたがお金の問題だった。そして、バイトをスッパリ辞められるだけのお金を確保できるのは給付奨学金だけだった。「あんな大学のあんな学科でトップ3にも入れないのは恥だ」というヒステリックなまでのプライドも拍車をかけ、半分命がけだった。今夏のような自由奔放な計画は、もしも給付奨学金が取れていなかったら絶対に不可能だったと思う。

仮に塾講を続けていれば、どうあがいても10日間以上の連続した休みは取れない。目一杯の10日間取ったとしても、立山槍でさえ2日順延すればパアだし、南アに至っては1日たりとも予備日が入れられない。そもそもそんな大縦走のプランを立てることすらなかっただろう。おそらく半分の日程で行ける、折立〜槍、三伏〜畑薙のコースで最初から立案していただろう。

山にいる限り、仕事や学校との関わりや、面倒な人間関係は存在しない。素晴らしい自然と景観をたどり着いた人全てに平等に与えてくれる場所が、山である。でも、山に行くまでの過程では、日常の仕事や人間関係のストレスに耐え、お金や休みの確保のために一生懸命格闘してこなきゃならないんだ。山の上で味わえるあらゆる快楽は、個人差はあれどそういう苦労を味わって休みを確保しているからこそ味わえるものだと思う。仮に下界が山と同様ののびのびとした環境であったならば、登山はその意義の大部分を失うことになるだろう。山が素晴らしいと感じることは、下界の住みにくさの裏返しであることを忘れてはならない。

とにかく今の自分は幸運で、2ヶ月全てがフリーという極めて恵まれた環境にいる。明日が雨だから順延、なんてどれだけ贅沢な悩みだろう。


とりあえず明日にでも出発したい・・・これに尽きる。あくまで今年の本番は南アだ。