伊吹山

前から「オフシーズンは登山をやりたい」と思っていましたが、GWの後半、急にあることを思い立ったのです。

「明日は天気がよさそうだ、よし伊吹山に行こう」

もともと一人で行くつもりでしたし、両親はそろそろ年齢的にきつくなっていたこともあり(笑)、単独で標高1377mの山頂を目指すことになりました。

もっとも、夏休みはほぼ毎年一人で列車旅をしていますし、冬も滑走日数の半分ぐらいは一人で黙々と練習しているので、趣味のために単独行動をするのはいたって普通の事だったりします。誰かと一緒なのもいろいろ楽しみがあっていいんですが、一人だと変に気を使ったりせずに純粋にスキーとか旅情とかを味わえますよね。それがいいんです。あ、友達はちゃんといますからね(笑)

さてさて、朝8時ごろに家を出て、登山口についたのが10時過ぎでした。案内地図によると山頂までは3時間20分かかるそうな。標高差はおよそ1200mで、結構ハードです。伊吹山@Wikipedia

1合目までは森の中を進みます。歩き出しはさすがにしんどいので、とりあえずは無理せずにペース取りをします。まだ5月上旬なので、出てくる汗はそれほどでもなく、気持ち良い程度です。

ちょうど歩きなれてきたころ、登山道は草原に出てきます。そこが1合目です。かつては、ここが冬のゲレンデになっていました(現在は休業中)

2合目まではゲレンデの中を進みます。山の形により、ここからは山頂が見えません。ちなみに、ゲレンデの下のほうではパラグライダーの講習をやっていました。あれはなかなか楽しそうです。

2合目を過ぎると、今度はゆったりとした林道のような道を登ります。3合目に上がってくると、視界が一気に開け、伊吹山の山頂と登山道の急斜面が見えてきます。ゲレンデは、昨シーズンから新会社の引継ぎによって3合目から上のみの営業になり、オフシーズンも観光用にゴンドラが動いています。

休憩をかねて3合目周辺をぶらついた後、さらにゲレンデを登り、細い道を抜けていくと、5合目に出てきます。ここからは、木のない開けた急斜面をジグザグに登ります。さすがGWとあって、つづら折りの登山道には多くのハイカーの姿が見えました。ここからがいよいよ本番です。

5合目でトイレを済ませて、ふと真上を見上げるとこんな不思議な光景が広がっていました。

真上での出来事だったので、周りのハイカーたちはあまり気づいていなかったようです。とてもきれいでしたが、正午を過ぎるとすっかり消えて無くなってしまいました。運良く見られて良かったです。(後で調べたところ、これは虹ではなく、内暈という現象だそうです。Wikipedia参照

ここから登山道はいよいよハードになります。ここから上は、登山道以外のところは植物保護で立ち入り禁止になっているので、道はかなり狭いです。降りてくる人や早い人やゆっくりな人たち同士、道を譲り合いながら登ります。

こんな調子で登り続けると、地上の空気から山の上の空気へと変わっていきます。空も一段と青くなり、風もさわやかになります。下の世界はもやっとした霞に包まれています。来てよかった! そろそろお腹も空いたので、8合目に着いたところでお昼ごはんにしました。これぞ登山の醍醐味ですね。

お昼ごはんが終わったころ、気さくな感じのおじさんに声を掛けられました。聞くと、彦根市に住んでいる人で、全国各地の山を巡り、地元の伊吹山には数百回登っているというではありませんか! いやぁ、すごい人に会ってしまいました。年齢の割りに見かけはとても若い感じがして、さすが、といった感じでした。

8合目からは少し登ると雪解け水の流れる道になります。ここは滑らないように気をつけながら慎重に登ります。そして、9合目に着くと、山頂全体が見渡せる整備された遊歩道に出てきます。山頂は目前です。

ところで、雪です。麓からも少し残っているのが見えていましたが、予想以上にその量は多く、厚さは深いところでまだ1m以上はあったはずです。5月に滋賀県で雪に触れるとは、スキー板がなくともなかなか幸せなことです(笑)

雪の上を緩やかな道を歩いていくと、ほどなくして山頂に到着します。山頂にはトイレはもちろん、商店や食堂まで建てられています。なんで山頂がここまで整備されているのかというと、実は、山の裏から「伊吹山ドライブウェイ」というものが山頂に乗り入れているからなのです。

そんなわけで、頂上にはいわゆる観光客もたくさんやってくるわけで、彼らはリュックも背負わず軽装でその辺を歩き回ったりしています。大人たちはイスに座って日光浴、子供たちは残雪で雪合戦。そして郵便局の臨時出張所がテーブルを構える。そんな光景の山頂です。

ともかく、自然そのものを見に来た登山客としては残念なことです。

で、お決まりですが、登頂の証拠写真です(笑) 三角点を探すのを忘れてしまったのが少し悔まれます。

その後、ちょっとした機会があったので、山頂のお寺みたいなところに詰めているおじさんと話をすることが出来ました。いろんなことを聞きましたが、伊吹山は夏ごろには山頂全体がお花畑になるので、その時期にまた来るといいらしいです。その時期には真昼に登るより、夜間登山をしてご来光を見て、暑くなる前に下りるのがオススメだとか。

ほかにも、冬には山スキーのためにアイゼンをつけて登ってくる人がいるとか、雪庇から落ちて死ぬ人が年に数人いるとか、高校生のグループがふざけて落石を起こして怪我人を出したことがあったとか、その人がクマと5mぐらいまでの近くに遭遇して大声を出して追い払ったとか、3合目まで18分で走って降りた経験があるとか(普通は1時間以上かかる)、いろいろ面白い話を聞けました。やっぱり、趣味の面白さは、一人で本を読んだりするより、実体験のある人に直接聞くのが一番ですね。

しばらく山頂を歩き回ったり、水を飲んで休憩を取ったりした後、1時間ほどしてから下山開始です。

基本的には来た道を戻るのですが、下りは足が痛いだけであまり楽しくありません。昼下がりということで、空気もだいぶにごってきていました。3合目のレストハウスで休憩を取りつつ、焦らずに下山しました。結局山麓まで2時間ちょっとかかりました。

地元の駅に帰ってくるころになって、ようやく疲れが出てきました。しかし、脚の筋肉痛などはありません。伊達にスキーをやっているわけではありません。どちらかというと、目を日差しにやられたという感じ・・・次回からは帽子とサングラスを持っていきます。

次は比良山系の縦走、そして夏は信州の山に行きたいです。そんな感じで新しい趣味を見つけた一日でした。

おわり

■[Mountain]5/5伊吹山のコースタイム 12:37
GWに伊吹山へ登ったときのコースタイムを出してみました。(デジカメ写真のタイムスタンプをたどった)

登山口10:20 → 一合目10:40 → 二合目11:00 → 三合目11:20 → 五合目11:50 → 六合目12:15 → 七合目12:30 → 八合目12:40(昼食休憩)13:20 → 九合目13:35 → 山頂13:45 合計歩行時間2時間45分

下りは写真を撮らずに降りてきたので詳しい記録がありません。大まかにはこんな感じ:

14:30山頂→休憩@三合目→16:40登山口

「大まか過ぎだ!」というようなツッコミはなしです(笑)